間違えやすい法令用語 28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」
1 贈与
贈与とは、当事者の一方(贈与者)が自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、相手がそれを受諾することによって成立する契約(民法549条)です。
2 負担付贈与
受贈者が一定の義務を負担する贈与をいいます。
贈与者から受贈者に対し、A宅地を贈与する代わりに、受贈者はその上に設定された担保権の被担保債務を全額引き受けて支払うことを約束するような場合です。
あるいは、例えば、贈与者Aと受贈者Bとが、Aが亡くなったときに、それ以後、BがAの妻に死ぬまで月10万円の生活費を支払うことをBの義務と定めて、一定の財産を贈与する契約(負担付き死因贈与契約)を結ぶような場合です。
3 寄附
寄附とは、「金銭その他の財産を無償で寺社、学校、公共事業などに供与すること、又はこれを約束すること。寄附者から直接寺社、学校等に寄附される場合は民法上の贈与」(有斐閣発行「法律用語辞典第3版」)になる、とされておりますが、法的には贈与と変わりません。
なお、寄附は一般には「寄付」という文字が使われますが、法令上は「寄附」の用語が多いようです。
4 負担付寄附
地方自治法96条1項は、普通地方公共団体が「負担付きの寄附又は贈与を受ける」ときは、議会の議決を要する旨の規定を置いています。
ここでいう「負担付きの寄附」は、「当該寄附を受ける際に反対給付的意味において地方公共団体の負担を伴う一定の条件が付せられ、その条件に基づく義務を履行しない場合当該寄附又は贈与が解除されるようなものをいう」(ぎょうせい発行:地方自治制度研究会編集「地方財務実務提要1の201ページ)」とされています。
行政実例では、「寄附又は贈与の契約に付された条件そのものに基づいて、地方公共団体が法的な義務を負い、その義務不履行の場合には、当該寄附が解除される等、その寄附の効果に影響を与えるもの」などがあります。
例:A市が3年後を目途に林道を建設する計画を建てていたところ、B林材業者から、1年以内に林道を建設すること、もし1年以内に建設しないときは返還してもらう、との条件付で、建設費用の全額を寄付すると申し出があった場合、その寄附を受けると、A市が条件(約束)を守らないときは、寄附を受けたお金を返還しなければならない義務が生じます。ですから、この寄附は、負担付寄附になります。議会の議決が必要になるのです。
5 負担付寄附に該当しないもの
⑴ 用途を指定した指定寄附・・・例:学校用地を寄附するという場合の寄附
⑵ 停止条件付寄附・・・例:遊園地にするなら寄附をするが、そうでなければ寄附はしない、という場合の寄附(これらの例は、いずれも前記「地方財務実務提要1」による)
これらについては、議会の議決は要りません。負担付寄附に似てはいますが、これらの寄附は「当該寄附を受ける際に反対給付的意味において地方公共団体の負担を伴う一定の条件が付せられ、その条件に基づく義務を履行しない場合当該寄附又は贈与が解除されるようなものをいう」ものでも、「寄附又は贈与の契約に付された条件そのものに基づいて、地方公共団体が法的な義務を負い、その義務不履行の場合には、当該寄附が解除される等、その寄附の効果に影響を与えるもの」でもないからです。