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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

相続 45 遺留分を侵害する相続分の指定の効果

2010年11月16日


1 遺留分の侵害を禁止する規定
民法902条1項本文は、遺言による相続分の指定ができることを定めていますが、ただし書きで「ただし、被相続人・・は、遺留分に関する規定に違反することができない。」と規定しています。

2 遺留分の意味 
遺留分とは、遺言者の意思によっても侵害してはならない相続人固有の権利を言います。

3 遺留分の帰属とその割合
⑴ 民法1028条は、「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
①直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の1/3
②前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の1/2」
と規定しています。
この規定は、遺留分が認められる相続人の範囲を、第1順位の相続人(子及びその代襲者)と第2順位の相続人(直系尊属)と配偶者に定めた規定です。
第3順位の相続人(兄弟姉妹及びその代襲者)には、遺留分は認められていません

⑵ 遺留分の割合は、前述のように、
①直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の1/3
②前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の1/2
ですが、これを各相続人の法定相続分を基準に考えますと、直系尊属のみが相続人になる場合は、法定相続分の1/3,その他の相続人の場合は、法定相続分の1/2になります。

⑶ ⑵の説明
相続人が妻と子2人、被相続人の財産すなわち遺産は1億円とした場合で説明しますと、遺留分の割合を、条文通り言いますと、「被相続人の財産の1/2」ですから5000万円が遺留分ということになります。
これを妻について言えば、妻の法定相続分は1/2ですから、5000万円の1/2の2500万円が遺留分、子について言えば、法定相続分は1/4ですから、5000万円の1/4である1250万円が遺留分になります。
以上の計算は、「被相続人の財産に対する遺留分割合」×「法定相続分」によるものですが、これを「法定相続分」×「遺留分割合」で計算しても、同じ結果が出ます。
ですから、条文に合わせて考えれば、相続人の遺留分は、
財産の遺留分割合×相続人の法定相続分=相続人の遺留分ですが、
相続人の法定相続分×財産の遺留分割合=相続人の遺留分の計算の方が分かりやすいかもしれません。

4 遺留分に関する規定に違反する相続分の指定は、無効か?
いいえ。無効ではありません。遺言による相続分の指定は、たとえ、それによって他の相続人の遺留分を侵害するものであっても有効です。しかし、遺留分の侵害を受けた相続人から、遺留分減殺請求がなされますと、指定相続分は修正を受けることになります。遺留分減殺請求を受けることなく遺留分減殺請求権が消滅しますと、相続分の指定は完全に有効になります。これらについては、別のコラムで解説することにします。

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