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行政 20 水道料金の消滅時効は2年間

2010年11月6日 公開 / 2016年3月15日更新

テーマ:地方行政

コラムカテゴリ:法律関連


1 市町村の水道水供給義務
水道法2条は、国及び地方公共団体に「水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じ」る責務を課しており、市町村が、水道事業を行っています。
2 水道料金債権は、地方自治体が有する債権
したがって、水道料金債権は、地方自治体が有する金銭債権です。地方自治体が有する金銭債権の消滅時効期間は原則として5年間です。地方自治法236条1項が「金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めのあるものを除くほか、5年間これを行わないときは、時効により消滅する。」と定めているからです。
しかし、この規定は、「時効に関し他の法律に定めのあるものを除く」としており、「他の法律」には民法も含まれますので、水道料金が、民法上の債権である場合は、時効期間も民法によって定まることになります。
3 これは民法上の債権か?
では、水道料金債権は、民法上の債権になるのでしょうか?
水道水を供給する市町村は、水道供給事業者です。この立場は、一般私企業のそれと特に異なるものではありません。消費者は、一般に私人であり法人その他の団体です。
ですから、水道を使用する関係は、消費者等と水道供給事業者である市町村との間の水道供給契約に基づくものになります
ですから、水道料金債権は民法上の債権になるのです。
4 短期消滅時効期間
民法上の債権の消滅時効期間は、原則として10年間です(民法167条)しかし、「生産者、卸売商人及び小売商人が売却したる産物及び商品」(民法173条1号)の消滅時効期間は2年間です。水道料金は、これに該当しますので、結局、水道料金債権についての消滅時効期間は、民法173条で定める2年間ということになるのです(東京高等裁判所平成13.5.22判決。最高裁判所平成15.10.10上告不受理決定で確定)。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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