地方自治 概算払と前金払の違い
多くの自治体には、多くの「委員会」がありますが、その多くは、「執行機関の付属機関」とされるものです。すなわち、執行機関の付属機関とは、「執行機関の要請により、行政執行のために必要な資料の提供等行政執行の前提として必要な調停、審査、諮問、調査等を行うことを職務とする機関であり、名称を問わない。」とされているのです。
自治体では、法令に基づかず、要綱を設けて、行政執行をすることが多いのですが、地方自治法第138条の4第3項は「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。」と規定していますので、条例によらない、いわゆる「私的諮問機関」が、執行機関の付属機関とされるときは、その設置は違法、したがって、その私的諮問機関の委員への報奨金の支給も違法ということになります。
A市は、現実に生じた某町内会で生じた紛争を解決するために、「自治組織に関する検討委員会設置要綱」を作り、「自治組織に関する検討委員会」を設置し、同委員会の委員に、委員会の会議への出席1回につき、7500円の報奨金を支払いましたが、A地方裁判所平成20年10月30日判決は、同委員会を、執行機関の付属機関であるとして、同委員会の委員に支払われた報奨金を、「給与条例主義の原則」に反する違法なものと断じ、これを専決した市長に対し、市に委員へ支給した報奨金と同額を支払うことを命じました。