遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
民法966条1項は「被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。」と定めています。
被後見人が未成年者の場合でも、15歳以上であれば遺言が出来ます(961)し、成年被後見人の場合でも、「事理を弁識する能力を一時回復した時において」、「医師2人以上の立会いが」あれば遺言できますが(973)、被後見人が後見人の影響を受けやすい立場であることを考慮して、「後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となる」遺言に、制限を設けたのです。
しかしながら、民法966条2項は「前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。」ことにして、一定範囲の親族に対しては、「有利な遺言」であっても制限を設けないことにしております。