自治体がする契約 14 単年度主義と長期継続契約
これは、最高裁判所が、原審よりも、行政に厳しい姿勢で臨んだ判決です。
この事件は、東京都市計画公園事業が認可されたことにより、その所有する土地又は建物の敷地が事業地に取り込まれることになったため、その土地が収用されるおそれが生じた土地の所有者から、自分の土地(民有地)を事業地に加えなくても、これに隣接する公有地を事業地として利用すれば足りたのであるから、建設大臣のした公園事業の認可は違法であるとし、その取消しを求めた事件です。
一審判決は、民有地の所有者の主張を認めました。
二審は、、行政庁のした判断に裁量権の逸脱や濫用はないとして、住民を負かせました。
最高裁判所平成18.9.4判決は、「都市施設の用地として民有地を利用することができるのは公有地を利用することによって行政目的を達成することができない場合に限られると解さなければならない理由はない。・・・しかし,原審は,・・・民有地ではなく本件国有地を本件公園の用地として利用することにより,林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか・・・という建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定していない・・・本件国有地ではなく本件民有地を本件公園の区域と定めた建設大臣の判断が合理性を欠くものであるということができるときには,・・本件都市計画決定は,裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となる。」と判示し、二審に審理のやり直しをさせるため、原判決を破棄し、差し戻しました。