遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
不正競争防止法は、不正競争の防止を目的とする法律ですが、
「不正競争」の中に、
窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により「営業秘密」を取得する行為(不正取得行為)やこれを他に譲渡(開示)する行為などがあります(法2条1項4号ないし9号)。
ここで、「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」とされています(法2条6項)。
より具体的に言えば、
① 技術的ノウハウ(例えば、製造・製法技術、原材料の配合基準、技術管理マニュアル、QC(品質管理)、設計図書、打ち合わせメモ、実験データなど)
②営業上の秘密情報(顧客リスト、販売マニュアル、商品・経理上・販売上のデータなど)
に分けられますが、
これらのノウハウや情報が「秘密情報」として保護されるためには、通常、
①秘密情報として管理していること、例えば、極秘・社外秘として、一般の従業員には閲覧できないように施錠した金庫内に保管するなど閲覧制限を設けること
②提携先との契約で秘密保持契約を結んでおくこと
③一般に知られていない情報であること
が必要です。
営業秘密の不正取得などをすると、損害賠償の請求と行為の差し止めを受ける場合があります。
大阪地裁平成8年4月16日判決は、男性用かつらの製造と販売を業とする会社の顧客情報を不正取得した者に対し、顧客情報の記載された者への営業行為を禁じた外、約50万円の損害賠償を命じています。
また、東京地裁平成11年2月15日判決は、退任した保険会社の取締役が、週刊誌の記者に、社外秘に当たる情報および資料を提供した行為につき、退任後の行為であっても、営業秘密の不正開示に該当するとして、2億5500万円の損害賠償を命じています。
また、営業秘密の不正取得行為などは、懲役10年以下若しくは罰金1000万円以下又はこれを併科される犯罪でもあるのです。