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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

地方企業を活かす知財戦略…(5)

2015年4月18日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:地方企業と知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

 知財戦略に重要な知的資産の考え方[Ⅱ]

 今回は、「知的資産」の中における「知的財産権」の位置付け、特に、「知的財産権」は、時間軸で考えることが重要である点に触れたいと思います。
 以前より、知的財産権の取得は、コストの問題ではなく投資として位置付けることが重要であると言ってきました。
 ところで、「コスト」は、お金を払うと直ぐに買うことができるお菓子のように、短時間で目的のものが手に入る性質があります。
 これに対して、「投資」は、目的のものを得るには、ある程度の時間が必要です。「株」などが良い例かもしれません。つまり、「知的財産権」を活用する知財戦略を立て、ビジネスの成功或いは会社の成長に結び付けるには、ある程度の時間が必要になります。この点を十分に認識する必要があり、お金を払って直ぐに目に見える形で手に入るものではありません。
 今、会社の財産となる「知的資産」を増やす場合を考えてみます。財産の蓄積を「入口」と「出口」から見た場合、入口は、例えば、「優秀な人材確保」を挙げることができます。
 現在、円安や原油安などにより企業の業績が好調です。この結果、特に、中小企業にとっては人材確保が難しいと言われています。したがって、会社は、様々な手を尽くして、優秀な人材(人的資産)確保に力を注ぎます。この結果、人材を確保できた場合、大きな財産が手に入ったと思うでしょう。一方、新卒者の離職率は高い傾向にあると言われ、折角、人材を確保しても、退社した場合には、一過性の人的資産(知的資産)で終わってしまいます。
 これに対して、その優秀な人材が生み出した技術等の成果物を「知的財産(知的財産権)」として会社の財産に変えておけば、会社の財産として蓄積することができます。「入口」に力を注ぐことも重要ですが、「出口」に力を注ぐことも同じぐらいに重要です。そうでなければ、穴の開いたバケツと同じになり、いつまでたっても会社として財産を効果的に蓄積することはできません。
 つまり、「知的財産権」は、他の「知的資産」に比べて、「安定性」,「信頼性」及び「正確性(客観性)」において遥かに優れているとともに、改良を重ねることにより累積的で継続的な成長に繋げることができます。
 具体的には、「特許権」や「実用新案権」は、会社の「技術力」や「発展性」のバロメータとして評価され、「商標権」や「意匠権」は、会社の「ブランド力」や「信用力」を高めるとともに、これらは会社全体の「イメージアップ」に貢献します。
 このように、「知的財産権」は、「知的資産」の中でも特に優れた一面がありますが、一夜にして、その効果が生じるものではありません。ある程度の年月を経て会社の財産として熟成されることになります。

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