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下田茂

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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

地方企業を活かす知財戦略…(1)

2014年11月15日 公開 / 2021年1月24日更新

テーマ:地方企業と知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

知財戦略という新たな道

 製造業の場合、主に、独立型企業と下請型企業に分けられ、地方企業では、圧倒的に下請型企業が多いと思われます。下請型企業は、親企業から仕事を依頼されるため、一般的には、依頼に対する忠実性が求められ、独自性よりも品質や精度の優位性が重要と思われているかもしれません。
 しかし、自分の会社の加工技術は何処にも負けない、と自負していても、その加工技術は熟練的な技術であり、いずれ進歩した機械と競争になり、最終的には価格競争という「戦争」に巻き込まれます。
 したがって、ここで何らかの戦略(作戦計画)を練らない限り、下請型企業の宿命として、この戦争から逃れることはできません。
 ここで、知財戦略という新たな戦略を立てることができます。そして、新しい道を切り開くこともできます。
 分かり易いように例(実話)を挙げてみます。
 今、建築関係の下請会社(A社)が親会社から壁面パネルの施工を請け負っていました。あるとき、A社の従業員が、壁面パネルを取り付ける従来の金具は、時間がかかり奇麗に仕上がらないとして、独自に改良し、短時間でひじょうに奇麗に仕上げることができる改良金具をつくりました。そして、その改良金具について、職務発明として特許を取得し、A社が所有しました。
 この場合、改良金具は、A社のみが独占実施できます。A社がOKを出さない限り、親会社も含めて他の会社は使用できません。
 また、親会社から見た場合、A社の施工は、他の施工と違って、ひじょうに奇麗な出来ばえで、しかも短時間に仕上がるとすれば、親会社にとってもメリットであり、A社は、コスト競争という「戦争」に巻き込まれることなく、会社としての優位性を確保できます。
 この結果、下請会社であっても、独立型企業に準ずる自立性を確保し、受注の安定化を図り、会社の信頼性を高めることができます。もちろん、これがきっかけに社員もやる気を増したり、新規受注開拓など、相乗的効果により、会社の発展を含めた新たな場面に入ることができます。
 ところで、我が社はそもそも改良など考える余裕や力がないと言うかもしれません。しかし、まずは認識を高めることがチャンスを生み、また、チャンスに出くわしたときに見逃すか取込めるかの違いとなって現れると思います。
 このように、知財戦略は、地方企業(下請型企業)にとって必要かつ重要な戦略と考えられ、経営戦略の一つとして位置付けてほしいと思います。

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