マイベストプロ宮崎

コラム

小さな会社の労務管理〜協調性の乏しい社員をどうする?〜

2020年11月22日

テーマ:労務管理

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 労務管理就業規則 作成社労士 相談

あなたの会社に協調性にかける社員はいませんか?


横柄


昨年までであれば、忘年会シーズン
真っ只中だったはずですが・・。


今年は、コロナ禍の中、忘年会等を
行わない会社も多い。

とはいってもチームの親睦を図るための
少人数の飲み会は行われているのでは
ないでしょうか

ところで、コロナ禍の現状は別として
それ以前、毎回声をかけても参加しない
社員もいたりしませんでしたでしょうか?

もちろん、社員間でのプライベート
な飲み会であれば参加は自由です!!

そのうち、付き合い悪い奴だって
そもそも声がかからなくもなって
しまうかもしれませんが・・・。

では、これが会社主催の行事(忘年会や
新年会等)だったらどうでしょうか?

これに参加しない社員にいたとしたら、
会社はどのような対応した方がいいと
思いますか?

また、会社行事への不参加に限らず、
日頃からコミュニケーションをとる
ことが難しい社員にはどのように
対応すればいいと思いますか?


会社行事に参加しない社員をどうする?


欠席


1.会社行事への不参加について

会社行事については、業務命令として
就業時間内又は時間外労働の
「強制参加」の形で行われる場合と、
「自由参加」の形で行われる場合と
二つある。

(1)強制参加の場合

就業時間内または時間外労働に業務命令
として行われる行事に強制参加の場合、

⇒当然ながら参加しない社員は、会社の
業務命令に違反となります。

つまり、会社行事への強制参加という
業務命令が労働契約の中の範囲であり
当該社員が会社行事への不参加について
やむを得ない事由が存在しない限り、
懲戒処分の検討もあり得りえます。

ただし、会社行事への不参加を持って、
会社の業務および秩序に対する影響が
大きいとまではいえません。

そのために重い懲戒処分には無理がある
のも事実です。

そこで、送別会等への不参加表明をした
社員に対し、これは業務命令として強制
参加であり、やむを得ない事由のない限り
参加するように説得することが必要です。

その目的をしっかり伝えることが大事
です。

それでもなお非協力的な態度で不参加で
あった場合には、当該社員にまずは
注意指導(訓戒)を行うことになります。

そこまでやっても何ら反省および改悛が
みられないときに、始末書やてん末書を
提出させて反省を促すことになります。

いずれにせよ、懲戒を科す場合は、手順
をしっかり履むことが大切です。

(2)自由参加の場合

会社行事が自由参加である場合、参加は
義務ではないので不参加であっても業務
命令違反を問うことはできません。

なお、会社主催の行事の場合は、事前に
対象となる社員全員に対して、

日時・場所のほかに、行事の目的・内容、
自由参加と強制参加の別を告知します。

強制参加の行事に欠席する社員については
欠席理由を確認し記録をちゃんととっておく
ことが必要です。

コミュニケーションを取るのが難しい社員をどうする?



孤独


2.コミュニケーションが難しい社員に
ついて

会社行事不参加社員=コミュニケーション
不足(難しい)社員であることがおおい。

もちろん、個性としてそういう傾向がある
人も少なからずいるでしょう。

しかし、その性質も突然現れるわけでは
ないですから、そもそも採用時点で見極
める必要があったということです。

職場の人間関係を円滑にすることは最優先課題の一つ


そもそも論として、会社にとっての最優先
課題は業務目的の達成や利益の実現です。

ただ、その一環として「職場の人間関係を
円滑にする」ことも会社の利益につながる
重要な労務管理上の目的といえるでしょう。

判例からみる協調性の欠如等による解雇について


個人の協調性の欠如等から職務適格性が
ないと認定されて普通解雇処分が認容
された判例をご紹介したいと思います。

これは、公証人であったXが他の職員との
協調性に欠けるために、公証人役場の事務
処理の迅速性を阻害しており、

さらに、公証人役場内において業務命令に
従わず同僚書記と対立衝突するなど融和に
欠けていたこと、

また、次第に異常な言動をするようになり、
日常生活の中でも被害妄想的な行動が現れ
てきました。

それらの事実から、やむを得ず解雇処分
されたという事案 です

(東京地判S55年9月30日・墨田公証人
役場事件)

ただし、本事案のように解雇処分まで
認められるのは、それに相当する重大
な事実がある場合に限られます。

少なくとも、いきなりは絶対にダメです。

もちろん、はじめから解雇ありきではなく、
回避する努力は必要です。

口を酸っぱくして言いますが、手順を
しっかり踏むことが重要です。

コミュニケーションを取るのが難しい社員の対応は?


懲戒処分

コミュニケーションをとることが難しく、
協調性が不足している社員のために、
社内の職場秩序や業務の円滑を欠く
事態が生じているような場合には、

業務命令として、その就業中の事態の
改善を求めるべく注意し、再三注意を
したにもかかわらず、何ら改善が
見られない場合には、

業務命令違反を理由として相応の懲戒
処分を行うことができる旨伝えること
が必要でしょう。

ただし、いずれにしても、懲戒処分を
行うには、就業規則に定めることが
必須です。

もっとも、コミュニケーションをとる
ことができない原因が当該社員の心の
病などの場合は、

懲戒処分を検討する前に、社員の
メンタルヘルスの問題として精神科
または心療内科の診察を勧めると
いった対応も必要でしょう。

この状況になれば、会社は休職命令を
発令する必要に迫られることになる
でしょう。

ただし、その場合でも根拠が必要です。

また、休職判断の可否や復職可否の判断等
など入口から出口までのこと及び休職命令
の根拠とともに就業規則に定めておくこと
が必須です。



あなたの会社の就業規則大丈夫ですか?

この記事を書いたプロ

内布誠

会社中をワクワクさせる人材育成(研修)のプロ

内布誠(ウチヌノ人事戦略事務所)

Share

関連するコラム

内布誠プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ宮崎
  3. 宮崎のビジネス
  4. 宮崎の人材育成・社員研修
  5. 内布誠
  6. コラム一覧
  7. 小さな会社の労務管理〜協調性の乏しい社員をどうする?〜

© My Best Pro