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共有不動産の売買時の評価における共有減価とは?

2016年11月20日 公開 / 2016年12月21日更新

テーマ:共有不動産

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 共有不動産


共有不動産の売買には「共有減価」というものがあります。事例をもとに「共有減価」について見てみましょう。

「土地とアパートの持ち分を売る」

二人の兄弟が土地とその土地に建つ1棟のアパートを相続しました。

「相続の持ち分通り、半分ずつにしよう」と話し合いが決まり、アパートは共有名義にし、アパートから上がる賃貸料は兄弟が半分ずつ得ることにしました。

ところが、しばらくして弟の事業に差し迫ったお金が必要になり、弟は土地とアパートを売却してそのお金を得たいと兄に相談しました。しかし、兄はアパートを売ることに賛成しません。困った弟は、「土地とアパートの持ち分を売る」と言い出しました。

共有不動産の「持ち分」について

共有名義の不動産の売却には、名義人全員の承諾が必要になります。この場合、兄が承諾していませんから売却することはできません。

しかし、不動産というものはやっかいなもので、共有名義の不動産には「持ち分」というものがあります。

この例では、兄も弟も相続した土地とアパートに対して「2分の1の持ち分」があります。

しかし、それは土地とアパートに対する「権利」の2分の1であって、「2分の1の持ち分がある」と言っても、実際にその土地の半分の面積、アパートの半分の部屋をそれぞれが持っているという意味ではないのです。ところが、法律的にはこの「持ち分」を売却することは可能です。

A氏登場

さて、ここに兄弟とは血縁関係のないA氏が登場し、弟の「持ち分」を買いたいと申し出たとしましょう。

兄弟が相続した土地とアパートは時価で3000万円の価値があるとした場合、弟はいくら得ることになるでしょう。弟の持ち分は2分の1ですから、「3000万円×1/2=1500万円」となるでしょうか?

答えは「ノー」です。

なぜなら、たとえばA氏がアパートの壁を補修したいと考えても、それには兄の承諾が必要になります。やり手のA氏が「土地とアパートをそっくり売って儲けよう」ともちかけても、兄が拒否すればその話は実現できません。

こうしたことを考えれば、A氏が買おうとする共有不動産は、その物件を買うことで所有権がA氏になる一般の売買とは異なります。

そこで「共有減価」というものが出てくることになります。

減価率は共有の状態や不動産の個性によって異なりますが、この例で言えば「時価1500万円×60%(共有減価)=900万円」ということになってしまう可能性があります。

持分を単独で第三者に売却する場合、今回の例では弟が自己の所有分を他人に売却しようとする場合、正当な不動産の価値で買い手を見つけることは難しいと言えます。第三者が被る不動産を共有することの制約やリスクを考慮して、こういった減価が行われることを共有減価といいます。

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