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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

ヒアルロン酸注入には効果がない?

2018年7月30日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

ヒアルロン酸注入には効果がない?

こんにちは。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今日は‘ヒアルロン酸注入には効果がない?’という報告です。

 2013年の米国のガイドラインにおけるヒアルロン酸注入を行わないようにという推奨は、ほとんど無視された。
American Academy of Orthopaedic Surgeonsが2013年に発表したガイドラインは、ランダム化試験における利益の欠如を理由に、変形性膝関節症患者へのヒアルロン酸注入(関節内粘性物質補充)を行わないよう強く推奨した。臨床家はこの推奨に注意を払ったであろうか? このことを明らかにするために、研究者らは米国の大規模な保険請求データベースを用い、ヒアルロン酸注入の利用動向を調査した。ヒアルロン酸注入の3分の2は整形外科医によって行われた。

 2007〜13年のあいだに、ヒアルロン酸注入の施行率は、変形性膝関節症患者100人につき四半期あたり、およそ7.0から8.5に上昇した。ガイドライン公表後の2年間は、ヒアルロン酸注入の施行率の低下はわずかであり、患者100人につき四半期あたり約8.5から7.5に低下した。研究者らは、変形性膝関節症に対するステロイドの関節内注射の動向についても調査した(2013年のガイドラインでは、ステロイド注射に関しては「肯定も否定もできない」とされている)。2007〜13年のあいだに、ステロイド注射の施行率は患者100人につき四半期あたり約24から28に上昇し、その後2年間はそのレベルで推移した。

コメント:この報告は、米国でのガイドラインのヒアルロン酸注入を行わないようにという強い推奨がほぼ無視されたことを示している。著者らは、診療を変えるには「さらなる介入が必要である」と結論付けているが、ヒアルロン酸注入は、保険者が支払いをやめない限り続くのではないかと、推測される。ステロイド注射に関してガイドラインは結論を出していないが、もっとも最近のランダム化試験では、ステロイド注射に効果はほとんどないことが示された。

 日本においても変形性膝関節症の患者さんへのヒアルロン酸注入はまだ結構行われている様ですが、恐らく日本では注入しない様にとまでは言われていないのだろうと思われます。米国がその様な状況ですから... 日本で行われなくなるまでにまだ時間がかかりそうです!

18.7.29 ゆず

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