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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

質の高い食事でがん患者の生存率向上?

2018年7月6日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

質の高い食事でがん患者の生存率向上?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の砂糖です。今朝は‘質の高い食事でがん患者の生存率向上?’という報告です。

 がんサバイバー(経験者)は、野菜や果物、全粒粉や玄米など精製されていない全粒穀物、たんぱく質、低脂肪の乳製品が多く、栄養バランスに富む食事を取ると死亡リスクが低下する可能性のあることが、米フロリダ大学の研究者らが行った新たな研究で示された。約1,200人のがんサバイバーを対象に食事の質と死亡リスクとの関係を調べた結果、食事の質が高い人では低い人と比べて、がんによる死亡リスクが65%低減することが分かったという。

 この研究は、1988~1994年の米国民健康栄養調査(NHANES)IIIに参加した約3万4,000人のうち、がんと診断されていた1,191人を対象としたもの。同氏らは、対象としたがんサバイバーの食事内容の聞き取り調査や食物摂取頻度調査票のデータを用いて、米国農務省による食生活指針をどの程度守っているかを健康食指数(HEI)で評価した。なお、この指針では果物や野菜、未精製の全粒穀物、たんぱく質、乳製品、飽和脂肪、コレステロール、塩分の推奨摂取量を明示している。

  解析の結果、HEIスコアが高い群では低い群と比べて、全死亡リスクが41%、がんによる死亡リスクが65%低いことが分かった。さらに、がんの種類別にHEIスコアと死亡リスクの関連をみたところ、皮膚がんや乳がんなど一部のがん種で質の高い食事と死亡リスクの低減に強い関連がみられたという。

同氏は「がん患者の予後には、特定の栄養成分ではなく食事全体の質が影響するという結果は予想外だった」と話している。ただし、この研究は因果関係を証明したものではなく、食事の質を高めると延命効果がどの程度得られるのかは明らかではない上に、運動などの健康に良い他の習慣が影響した可能性も考慮されていないと強調している。

米国がん協会の別の研究者は、「最近集積されつつある、がんサバイバーに健康的な食事を推奨すべきとするエビデンスと概ね一致するものだ」とコメントしている。ただし、がんの治療中や回復期には必要とされる栄養素が変わることがあるため、がんサバイバーは自分に必要な栄養素や運動について、医療従事者に事前に相談する必要があると付け加えている。

 近年は2人に1人ががんに罹患する時代と言われていますので今回の報告には注目する必要がありそうです。ただ、これはがんに罹患したことがある方のみならず日頃から気をつけるべきことかも知れませんが...

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