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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会議効率化:フレームワークとは?:今理解すべき3つの視点

2020年1月10日 公開 / 2021年8月12日更新

テーマ:フレームワーク

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革生産性向上 取り組み業務改革

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

フレームワーク、ご存知ですか?
一言で言うと、課題解決や合意形成に役立つ、無くてはならない道具です。知的生産性を高める道具です。


このコラムでは、今理解すべき3つの視点として、下記の3点を書きます。5分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。


1. フレームワークとは?

下記3点は、ウィキペディアからの抜粋です。フレームワークを端的に説明していると思いますので引用します。

  • 問題解決や意思決定を行いやすくしたテンプレート。
  • 経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組み。MBAなどで教わることが多く、ビジネスに必要とされるロジカルシンキングや発想法などを体系的にまとめたもの。SWOT分析、ファイブフォース分析などが挙げられる。
  • 開発・運用・意思決定を行う際に、その基礎となる規則・構造・アイデア・思想などの集合のこと。日本語では「枠組み」などと訳されることが多い。


フレームワークは、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みです。先達が作り上げた貴重な枠組みと言えます。
チームのメンバー全員で共有・理解しやすく、有用性が実証されているので、議論に合うフレームワークを使うと、とても仕事が効率化されます。


フレームワークの利点は下の3点です。

  • 議論が見える化される証明済の公式のようなものなので、安心して使え、説得力がある。
  • 書籍やインターネットで使い方や事例を見ることができるので、身近で使いやすい。
  • 「コレはいい」ということが体験できれば、自分たちの日頃の仕事にも使ってみようというムーブメントが起きる可能性がある。これにより、チームの知的生産性が高まる。


フレームワークではありませんが、先達が作り上げたものの一例として、インド式棒算を取り上げてみます。
インド式棒算
12x13の答えをインド式棒算で求めてみましょう。

  • 12の十の位の棒は左下から右上へ伸びている上の棒です。一の位の棒は左下から右上へ伸びている下の2本の棒です。
  • 13の十の位の棒は左上から右下へ伸びている左の棒です。一の位の棒は左上から右下へ伸びている右の3本の棒です。


十の位と一の位は小学校1年生で学ぶものらしいので、就学前の子でも知っている子はいるかもしれません。一方、2桁の掛け算は多分1年生では学ばないと思います。

インド式棒算の使い方がわかれば、小学1年生でも2桁の掛け算ができてしまいます。十の位が交わっている点(赤い点)の個数を最初に書いて、次に十の位と一の位が交わっている点(緑の点)の個数を数えて最初の数字の右隣に書いて、最後に一の位の棒が交わっている点(青い点)の個数を数えて一番右に書く。
このやり方で、12x13の答え156を出す事ができます。小学1年生でも答えを出す事ができてしまうのです。

小学1年生が、このやり方を考案するのは至難の技でしょう。インド式棒算は、先達が作り上げた貴重なやり方と言えます。

フレームワークも同様です。先達が作り上げた、メンバー全員で共有・理解しやすく、有用性が既に実証されている、貴重な枠組み。
是非使っていただきたい道具です。議論に合ったフレームワークを選んで、課題解決や合意形成に活かしていただきたいです。

 
 

2. 例えばどのようなものなのか

フレームワークはたくさんあります。この章では一例として、共感マップ(Empathy Map)を取り上げてみます。会議に対して、悩み・課題をお持ちの方が、①何を頭で考え・感じ、②何を目で見て、③何を耳で聞き、④何を発言し、何を行動するのかを見える化するためのものです。さらに、⑤苦痛なこと、⑥獲得することを見える化しています。(下の画像をクリックまたはタップすると拡大します)
ペルソナを見える化するものと言えます。
XPLANE社(https://www.xplane.com/)が開発したフレームワークです。

ペルソナ(persona)とは、サービス・商品の典型的なお客様像のこと。サービス・商品を利用するお客様の中でも特に重要なお客様像をモデル化したものといえます。

Empathy Map
例えば、上の共感マップ。会議の参加者をペルソナとして見える化したものです。
①の「何を頭で考え感じているのか」について議論していると、そこに夢中になって、②〜⑥について議論する時間がなくなってしまう危険性があります。議論が白熱して②〜⑥を忘れてしまうかもしれません。このフレームワークを使うことで、抜け漏れを防ぐことができます。また、議論を見える化するので、会議室の中を言葉だけがやりとりされていて(空中戦)何を話しているのか分かりにくい状態になることを防ぐ事ができます。

フレームワークは、使いこなせば、なくてはならないツールになります。5〜10個くらい自分の「道具箱」に入れる事ができれば(使いこなせるものが5〜10個くらいできれば)、いろいろやれると思いますよ。

 

3. どうやったら使えるようになるのか

基礎的な知識を身につけ、実務を通して研鑽し続けよう

道具は実際に使って練習しながら習得する必要があります。リアルな仕事で使いながら研鑽する必要があります。

本を読んだり、ネットを調べたりして、自分の力で習得するという選択肢があります。
OJTを通して、誰かの支援を受けながら、「自分で使えそう」と思えるフレームワークを見つけ、使いこなせるようになるという選択肢もあります。支援を受けた方が、使いこなせるようになるまでの時間は短くなります。

BTFコンサルティングではフレームワークを紹介させていただき、今までのご自身のご経験と合わせながら、使い方をご理解いただく研修を用意しております。
いろいろなフレームワークをご理解いただく中で、「あの時このフレームワークを使っていれば良かったかもしれない。そうしたら、こんな風に合意形成を進める事ができたかもしれない。」ということを考えていただけるような研修です。
また、実際に使いながら、自分のものにするまで、伴走型で支援させていただいております。

解決すべき課題に合わせて、フレームワークをカスタマイズすることもあります。例えば、上の共感マップは首から上しかありません。手や足を考える必要があるならば、共感マップの絵を変える必要が出てきます。

フレームワークは一旦使ったら終わり、ということではありません。洗練することで、今まで見えなかったものが見えてくるようになります。会議やワークショップが終わったら、振り返りをしましょう。振り返りの場では、フレームワークの使い方や使い勝手などを振り返り、次に使うときに備えましょう。高い生産性で考えるためには、振り返りを実施し、自分なりにフレームワークを洗練することが大切です。

フレームワークは知的生産性を高めるのに効果がある道具ですので、是非「自分の道具」を身につけていただきたいと思います。


ビジュアルに考えよう("Make Your Zoom Meetings More Engaging with This Mighty Methodology"から)

コロナ禍になり、テレワークが増えたと思います。
テレビなどで報道されているオンライン会議を見ると、画面に映った顔を見て話をしているだけ、という会議が多い印象を受けます。

米国XPLANE社の "Make Your Zoom Meetings More Engaging with This Mighty Methodology" を参照します。
XPLANEがいう Mighty Methodology(強力な方法論)とは、「ビジュアルに考える」という方法論です。

下の画像をご覧ください。(出所:https://xplane.com/what-is-visual-thinking/?v=24d22e03afb2
(画像のタップやクリックで拡大します)
研究結果によると、言葉だけで考えるよりも、言葉も視覚も使って考える方が、考えが脳に定着するそうです。
Visual Thinking

会社の会議ではどうでしょう?次の50秒位の無音声のYouTube動画をご覧ください。

あなたの会議は Traditional Meeting(伝統的な会議)ですか?
Visual Collaboration(ビジュアルな協働)ですか?
コロナ禍になり、私が報道で見たオンライン会議は、伝統的な会議ばかりでした。
これはもったいないですよ。ヒト・モノ・カネの観点からも、モチベーションの観点からも。


フレームワークは「ビジュアルな協働」にとても役立ちます。
このコラムでは、共感マップを例として使って説明しました。例えば、「ブランクの共感マップを画面に出して、オンライン会議参加者が協働して書き込みながら、議論する」というアプローチの方が、参加者の顔だけ見ながら議論するよりも断然はかどります。

是非、フレームワークを効果的に使って、会議を「ビジュアルな協働」の場にしていただきたいと思います。

考える習慣をつけよう

DIAMOND Onlineの2020年10月27日記事に、『「フレームワーク」を使えない理由』 が載りました。この記事を読んで思ったことを書いてみようと思います。

考えることを忘れてしまっているビジネスパーソンが多いのかもしれません。

研修に出ただけとか、本を読んだだけ、では スキルマトリックスとスキルレベル のスキルレベル1(基礎的な知識がある)程度です。

実務経験を通して研鑽しなければ使えるようになりません。フレームワークは道具です。道具は自分で使いやすいように、考えながら研鑽してスキルアップすることが大切です。
背泳ぎで、手で水をプッシュするやり方。基本はインストラクターに教えてもらうことが必要です。そして、自分なりのやりやすい方法を身につけると早く泳げるようになります。ひとりで研鑽するよりも、チーム内に研鑽仲間がいると、一緒に悩みながら上達できるので良いですね。

パスカルの「パンセ」の中の言葉。
『人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。 しかしそれは考える葦である』なのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(BTFコンサルティング)

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