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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会議効率化:ソフトスキルとは?:今理解したい3つの視点

2020年1月4日 公開 / 2023年4月18日更新

テーマ:ソフトスキル

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革リーダーシップ スキルチームビルディング

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

ご自身のスキルアップについて考えておられる方々が、たくさんいらっしゃいます。年功序列が当たり前ではなくなり、先が見通しにくい時代、ご自身で「自分が頼れるスキル」を獲得することについて考えることは、当然のことと言えます。

このコラムでは、今理解すべき3つの視点として、下記の3点を書きます。5分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。


1. ソフトスキルとは?

スキル獲得というと、資格や検定にチャレンジしようと思う方がいらっしゃると思います。これはこれで素晴らしい、と私は思います。

資格や検定は試験があります。試験ができるということは、その内容が体系化されていて、文書化されている、このように言うことができます。例えばプロジェクト・マネジメントの領域でのPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)。プロジェクト・マネジメントに必要な知識が体系化され、まとめられたもの、これがPMBOKです。なお、BOK(Body Of Knowledge)を日本語にすると「知識体系」です。

このように体系化され文書化されているスキルを「ハードスキル」ということがあります。技術的なスキルということもできると思います。ソフトウェアの設計開発のスキルはハードスキルです。

AI(Artificial Intelligence、人工知能)という言葉をよく聞くようになりました。体系化されて文書化されているということは、AIが学習する材料が既に存在している・AIに学習させやすい、ということです。例えば、コールセンター分野、医療分野、会計分野などでは、既にAIが進出し初めています。ファイザーやモデルナのmRNAワクチンの開発にAIが活用され、とても速い速度で開発されたことでもAIは有名になりました。

「ハードスキル」の対語として「ソフトスキル」があります。
対人系のスキルで、ハードスキルに比べて体系化されていない・するのが難しい、また文書化されていない・しにくい、と言えると思います。コミュニケーション、プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、チームビルディングなどのスキルです。


ハードスキルに比べて、資格や検定で測りにくいものと言えます。ソフトスキルはご自身が所属するチームのメンバーからの評価で測れるような種類のものである、と言えるのではないでしょうか。

私は次の問いを ChatGPT に質問しました。


あなたはビジネスパーソンにとってソフトスキル能力を高めることは価値があると思いますか?

ChatGPT は次のように返してきました。


はい、私はビジネスパーソンにとってソフトスキル能力を高めることは非常に価値があると考えています。ソフトスキルは、人とのコミュニケーション、協力、リーダーシップ、プレゼンテーション、問題解決、創造性、柔軟性など、ビジネスにおいて重要なスキルです。

ビジネスは人々が中心になっています。そのため、ソフトスキルを持っていることは、他の人々と良好な関係を築くことができ、チームの一員として働いたり、顧客と対話したり、ビジネスにおいて成功するために必要なスキルです。

さらに、ソフトスキルを持つことは、職場におけるストレスを減らすことにもつながります。コミュニケーションや問題解決能力が高い人は、意見を述べたり、意見を聞いたりすることが簡単で、ストレスを軽減することができます。

総じて、ソフトスキル能力を高めることは、ビジネスパーソンとして成功するために不可欠なスキルです。組織の中で他の人々と協力し、問題解決やコミュニケーションを効果的に行うことで、キャリアの成長に繋がります。

上の ChatGPT の返答は私にとって違和感がありませんので、引用いたします。
 
 

2. ソフトスキルを研鑽すべき理由

長い間陳腐化しないから

ハードスキルはAIが学習しやすいと書きました。ソフトスキルは体系化しにくく、文書化も相対的に進んでいません。私は、ソフトスキルは相対的にAIが学習しにくいものだと思っています。

陳腐化の観点。
私は、ソフトスキルは陳腐化しにくいと考えています。対人系のやり取り、例えば人と人が話し合って合意を形成するという行為、この行為が不要になることはないと思うからです。例えば、ソフトウェア設計開発に関する技術的スキルに比べると陳腐化のスピードは遅いでしょうし、ソフトスキルの必要性はますます増してきています。

評価の観点。
ソフトスキルを持っているかどうかは、所属するチームのメンバーが評価する・できるようなものだと思います。資格や検定は無いのですが、その分実際の仕事の場で皆から公平に評判を得ることで評価されるという、ある意味厳しいもの・やりがいのあるもの、と言えるでしょう。

難しそうだなぁ、と思っている方がいらっしゃるかと思います。
もし、全くゼロから手探りで始めるならば、とても難しいと思います。
大丈夫です。先達の知恵と経験がギュっと詰まった道具があります。

道具というと何を想像しますか?DIYの道具?調理器具?
道具は実際に使って練習しながら習得する必要がありますよね。ソフトスキルも同じです。具体的にはフレームワークや、ロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングなどの思考法などがあります。

コロナ禍の今ビジネスパーソンに求められているスキルだから

この節では、"Let’s Stop Talking About Soft Skills: They’re Power Skills" という記事を参照します。日本語にするなら、「ソフトスキルについて語るのをやめよう。それらのスキルは、パワースキルだ。」という感じでしょうか。

ソフトスキルに益々焦点が当たっていて、パワースキルと呼ぶべきだ、という内容の記事です。
コロナ禍の今、ビジネスパーソンにとってどんなスキルが求められているのかを知ることは大切なことだと思います。

企業が重要と考えるスキルのベスト3は下記だそうです。

  • Willingness to be flexible, agile, and adaptable to change(変化に対して、柔軟でありたい、機敏でありたい、順応性を持ちたいという意欲)
  • Time management skills and ability to prioritize(時間管理能力と、物事の優先順位をつけることができる能力)
  • Ability to work effectively in team environments(チームで協働する環境で、効果的に働くことができる能力)


上記の3つはどれも対人系の能力です。ソフトスキルです。

この節で参照した記事は英語のものなので、欧米を対象としているとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。私は、上記3つのスキルは日本でも求められているスキルである、と考えます。

DX時代に必要なスキルだから

この節では、2020年5月8日に投稿されたデロイト・コンサルティングの "A new approach to soft skill development"] という記事を参照します。

この記事自体は、ソフトスキルの能力開発について書いています。

  • デジタル変革(DX)により自動化される業務が急速に増加する。
  • 企業は従業員に対して、ソフトスキルを使って、価値を出すことを求めている。(デロイト・コンサルティングの記事では "human capabilities" という言葉を使っています)
  • LinkedInの2019 Global Talent Trends Reportによると、92%の企業が下記のことができる能力が重要であると答えた。今日のビジネス環境においては、その重要性はハードスキル以上であると答えた。

  ・創造的に考えられること
  ・課題を解決できること
  ・合意形成できること
  ・難しい会話であっても、どうにかできること
  ・チームとして効率的に協働できること
  ・その他ビジネスの成功のために人的面のことを扱えること

マニュアル化できる定型業務は、自動化が進むでしょうから、チームで協働して顧客体験価値を高めることが今求められている、ということなのだと思います。チームで上記のことができることが今こそ求められています。ソフトスキルなしに、これらを行うことはできません。

DX推進に必要なスキルだから

この節では下記2つの記事を参照します。


マッキンゼーのレポートは、下記3つの重要な指摘をしています。

  • 日本は反復型のルーチンワークが占める時間が56%に達しており、そのうち67%が自動化できる可能性がある。
  • 失われた20年の中、日本の産業は既存のプロセスを徹底的に磨くことで価値を生んできた。
  • リアルを変える「手段」としてのデジタル変革(DX)であるという考え方をもって、そもそものビジネスのやり方や、現場での進め方といった実業の部分を変えないと、実際にビジネスで価値を生むことにならない。


DXの本質はビジネス変革である、と私は考えています。その上で必要ならばデジタル技術を活用すれば良いのです。この考えの下、私はDXを「デジタル技術を活用したビジネス変革」という日本語に訳しています。

この考えを進めていくと、DXを推進するためのキーポイントは下記3つである、と私は考えます。

  • 実業のビジネスで、お客様や従業員の体験価値を生む・増やす、ビジネス変革が必要である。
  • 必要ならデジタル技術を活用する。
  • 営業、マーケティング、経営企画、業務、ITなど各部門の専門家を集め、ファシリテーターを入れ、ワークショップを開催して、これら専門家の人たちをチームとして機能するよう、チームビルディングし、デジタル技術を活用したビジネス変革を推進することが必要である。


3つ目のキーポイントが正にソフトスキルが活躍する場になります。

改善活動であれば、自分たちの組織内で実施できる部分最適とも言えるものなので、それほどソフトスキルを駆使する必要性はないかもしれません。いつも協働している人たちですし。

ビジネス変革は規模感が異なります。多くの場合は全社規模の全体最適です。営業、マーケティング、経営企画、業務、ITの5つの部門が集まったとすると、話す言葉も異なるでしょうし、同じような言葉であっても意味が異なるという場合もあるでしょう。1つの会議室に集まっただけでは、議論にならないかもしれないし、チームとして機能しないでしょう。ファシリテーターが議論の交通整理をしながら、話し合いを促進し、真剣に議論するという体験を通して専門家たちを1つのチームとして機能するように、チームビルディングすることが必須なのです。

IDC Japanの記事は下記を書いています。

  • DXを実践中/実験段階/実施検討の段階にある企業は、「ソフトスキルの方がより重要」が46.0%で、「ハードスキルの方が重要」の24.3%を上回った。
  • 「経営戦略/計画と一体化したDXロードマップを持っている」企業は、「ハードスキルの方がより重要」とする回答率(32.4%)が「ソフトスキルの方がより重要」(29.4%)を若干上回り、全体の傾向とは異なる結果になった。


デジタル技術を活用したビジネス変革(DX)を実現するには、ソフトスキルとハードスキルの両方が大切である、と言えると思います。

DXを「デジタル変革」という言葉で理解していると、「デジタルなのだから技術職のものでしょ」となってしまう危険性があります。もちろん技術も必要なのですが、それだけではダメです。ソフトスキルが活躍しなければ、デジタル技術を活用したビジネス変革はいまく行きません。

なお、BTFコンサルティングが考えるDXにつきましては、『ビジネス変革:デジタル変革(DX)とビジネス変革:今理解すべき3つの視点』 というコラムを書いています。ご関心のある方は、ぜひお読みください。

 

3. ソフトスキルを研鑽する上でのキーポイント

その場に合わせて道具を使おう

例えばロジカル・シンキングで出てくる「漏れ無くダブリ無く」というMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方。

研修では、「人間は男性と女性がいる。これはMECEである。」と学ぶ事があります。これは研修としては良いのかもしれませんが、実際の場面では違う切り口で捉える必要があります。

例えば、子育て世代をお客様とするサービスを考えるならば、お客様を男性と女性という大枠だけで捉えるのではなく、もっと細かな粒度でMECEする必要があるでしょう。


当事者を巻き込もう

道具は実際に使って練習しながら習得する必要がある、と書きました。私は、リアルな仕事で使いながら研鑽する必要があると思うのです。何かの課題解決に使ってみるのであれば、その課題を持っている当事者を巻き込むことは必須です。当事者のことは当事者が一番よく知っているからです。

アジャイルに対応しよう

練習中はうまくいかないこともあります。うまくいかない方が学ぶ事が多いので、上達する絶好の機会です。

振り返りを実施してください。うまくいった事と、うまくいかなかった事を洗い出してください。そして、次のアクションを考えてください。ご自身で出来るアクションを考えてください。出来ないアクションではなく、出来るアクションを考えてください。頭の中で考えるのではなく、紙とペンを使って考えを見える化しながら考えてください。複数人で振り返る時はもちろん、お一人で振り返る時も、是非頭で考えている事や感じていることなどを紙上に見える化して、振り返りを実施することをお勧めします。

振り返りは、うまくいかなかった事だけを反省する場ではありません。うまくいった事・うまくいった理由を整理分析していると、うまくいかなかった事の対応策が見えてくる事があったりします。

振り返りの結果のアクションを試す、また振り返る、このサイクルをできれば短くする事が大切だと思います。デザイン・シンキングやグーグル・ベンチャーのスプリントの底流にある考え方である、と私は思います。

ちなみに、アジャイル (agile) は「機敏な」という意味の言葉です。
なお、『働き方:アジャイルな働き方とは?:今理解すべき3つの視点』 というコラムを書いております。こちらもお読みいただければと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

この記事を書いたプロ

小川芳夫

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小川芳夫(BTFコンサルティング)

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