コラム
春バテに注意!〜目の疲れからイライラまで〜それって『春バテ』かも?①【山梨 漢方薬 さわたや薬房】
2023年3月30日
【なぜ春にメンタルと目が病みやすいのか?】
新生活のスタートや環境変化の多い春。
今回はそんな春になると相談が増える『メンタル不調』『目のトラブル』について
最近では『春バテ』と言われるような様々な不調
なぜこのような症状のご相談が増えるのか?
ということを考えながら春バテ対策・春の養生についてお届けしたいと思います。
改めてですが、なぜ春になるとこのような不調の方が増えるのでしょうか?
答えは簡単。
春は『肝』の季節だからです。
なんて言われても訳がわかりませんよね。
実は春は中医学(漢方)では『肝』と言う場所の季節なのです。
この『肝』という場所と
『春』という季節の特徴が
実はメンタル不調や目の不調の大きな繋がりがありますので、漢方的に、そしてカラダの仕組み的な部分から深堀りしていきたいと思います。
【春と肝のつながりとは?】
まず春と肝、そしてメンタル不調と目の不調とのつながりをお伝えする前に中医学独特の考え方である『五臓』についてお話したいと思います。
僕のnoteをいつもご覧くださっている方やポッドキャスト番組を聞いてくださっている方は馴染みがあるかもしれませんが
簡単にご説明すると五臓とは漢方の内臓的な物を示す考え方です。
漢方では内臓的な働きを大きく5つに分けており
『五臓(ごぞう)』
といいます。
中医学では5つの内臓のような働きを持つ場所と、5つの季節、5つの色、自然界にある5つの物、5つの味など様々な物がこの五臓とはつながっていると考えられています。
正式には
『陰陽五行説』
などと言われますが、これをお伝えしようとすると何回の連載になるかわかりませんので今回は簡単にご紹介します。
【五臓の中の一つ『肝』】
カラダを支える5つの五臓は
肝・心・脾・肺・腎
という5つに分類されております。
それぞれの漢字にはみなさんも見覚えがあると思います。
日本の医学はもともと中国から伝わってきた中医学(日本では漢の国の医学なので『漢方』という言い方が一般化しました)が医学の基本でした。
それが江戸時代に西洋医学が本格に的に伝わり、今の解剖学的な臓器の名前をつける時にもともと日本人に馴染みのあった内臓機能の呼び方『五臓』から名付けられたこともあり、同じ漢字が使われていると言われております。
話が脱線したので、戻りますが
今回のテーマとして取り上げる
『肝』
であれば現代の生理学的な肝臓が持っている働きはもちろん含まれており、肝臓が持っている働き以外にも中医学では『肝』は様々な働きを持っていると考えます。
肝は
自然界に存在するものでは『木』
季節は『春』
カラダから出る液体は『涙』
栄養を供給する場所は『筋』
色は『青(緑)」
そして
カラダの器官では『目』
感情では『怒り』
がそれぞれ当てはまると中医学では考えます。
【春と関係深い『肝』の働きとは?】
簡単にこの肝の働きをまとめると
生理学的な肝臓の働きを含め(免疫・解毒分解・造血など)
自律神経系
運動神経系
視覚などをコントロールする場所と考えておくとわかりやすいかもしれません。
『肝』に関しては中医学ではこんな風に言われます。
『肝は目につながっていて、その華は爪にある。
肝は筋肉や筋の働きをつかさどっている。
肝は血を蔵している。
肝は疏泄(心の状態や食べたものの消化吸収、気や血の流れがスムーズになるような働き)をつかさどる』
と言われています。
春は肝の力が増す時期です。
そのわけは自然界では『木』が肝とつながっていると考えられていますが、春という季節は万物が冬の間に溜め込んだ力を使って芽を出すために放出する時期です。
夏にしっかり生い茂り、秋にきちんと収穫するために、春は新しい息吹の季節、芽吹きの時期。
そのため肝は活発に活動します。
この時に十分な力がカラダにあればよいのですが
心身の疲労が溜まっていたり
本来は冬の間に溜め込むはずのエネルギーを冬場に無理をして消耗してしまったりすると春になって肝がちゃんと働きません。
(冬は平蔵の時期といい漢方ではエネルギーを蓄える時期と考えます。その時期に無理をすると春になって肝が失調します)
そうすると肝が本来持っている力が発揮されず様々な不調が起こるのです。
メンタルの不調や目の不調も実はその中の一つ。
肝が持っている働きを考えたら目やメンタルだけでなく様々な不調が起こっても不思議はありません。
次回も五臓の肝と、肝の不調から起こる不調対策についてお届け致します。
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