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後藤一仁

不動産を通じてお客様を幸せにする不動産コンサルタント

後藤一仁(ごとうかずひと) / 不動産コンサルタント

株式会社フェスタコーポレーション

コラム

「住宅ローン」を組む前に知っておいてほしいこと

2013年6月10日 公開 / 2020年4月28日更新

テーマ:住宅ローン

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 住宅ローン 借り換え住宅ローン 固定金利住宅ローン 審査

マンションなどの住宅購入は、多くの人にとって恐らく「一生にそう何度もない大きな買い物」です。そして、多くの方が現金で買うのではなく「住宅ローン」を利用することと思います。

この「住宅ローン」は個人の方にとって高額な借入金であることから、組み方を失敗すると、自らの人生を不幸にしてしまうほどのものです。ですので、不動産会社の一担当者や銀行の担当者が言っていることを鵜呑みにするのではなく、自分でもしっかりとした知識を持っておく必要があります。自分の身は自分で守らなければなりません。

今回は「住宅ローンを組む際のポイント」について、ご紹介します。

単純に短期間にしてはいけない

よく、『住宅ローンの組み方指南』などの本を読み、総支払額の大小だけに着眼して住宅ローンは短めに組んだほうが有利だからと、単純に「短期間」のローンを組む方がいらっしゃいますが、例えば、短期で住宅ローンを完済しようという計画をお持ちの方の場合、最初から短期で組むのと、あえて月々の負担を抑え、長く組み、結果的に短期で返済してしまうのとでは、危機管理という意味でかなりの違いが出ます。

高めの返済額を今は支払えても将来に渡って払い続けることができるかどうかはわかりません。長く組んだ住宅ローンを繰り上げ返済をうまく利用し、短期で返済してしまうことはできますが、一旦短期で組んだ住宅ローンを長期にすることは原則できません。

ですので、無理をしてまで短期間で組まなければいけないと思わないことが必要です。人生には様々な出来事が訪れます。例えば、3,500万円を金利2%で、35年で組むと月々115,942円ですが、20年で組むと177,060円にもなります。

今は17万円以上を支払うことは簡単なことでも、勤務している会社の倒産や予期せぬ病気・事故などにより、予定していた収入が万一途絶えた場合、月々115,942円の返済額ならなんとか乗り切れても、177,060円の返済額では苦しくなり、支払えなくなってしまうこともあります。

また、例えば、そのマンションを貸した場合の賃料が15万円の場合、月々115,942円の返済額なら、管理費・修繕積立金・固定資産税等の月割分を支払っても不足分がありませんが、177,060円の返済額では貸したとしても、支払い額が賃料を上回り、収支がマイナスになってしまいます。

このように、高めの返済額の場合、住宅ローンが返済できなくなってしまうことがあり、破綻を余儀なくされるケースもあることから、期間を長く組んでおき、現金を手元に置いておいてプールし、まとまった段階で繰り上げ返済し、返済期間を短くする方法が、総支払額を抑えることとリスクをヘッジすることの両方を兼ね備えることができ、戦略的な組み方といえるでしょう。

なお、今後は「ボーナス払い」にしたり、退職金をあてにしての返済を検討するのもリスクになりえますので、避けた方が安全です。

返済金額は割合で決めるのではなく、金額で決める。

また、返済金額は、例えば、不動産会社や銀行が言う借りられる(ローンの組める)金額(今の年収に対して35%や40%)や、ファイナンシャルプランナーなどの専門家の方が言う今の仕事の「収入に対して20%」や「25%」などと、割合で決めたり、借入額は例えば年収の5倍や6倍までならOKなどと、本で読んだままに簡単に決めるのではなく、きちんと自分の現在及び将来をよく見越した上で『住宅費に使えるのは月いくらまでか』と金額で決めるという視点が必要です。

頭金は2割入れればよいわけではない。

さらに、『頭金は2割以上必要』や『頭金は多ければ多い方がよい』という専門家もいますが、手元に現金が残らなくなるのに無理をしてまで頭金を多く入れる必要はありません。今後の生活のために、残しておく金額を算出し、総合的に、頭金をいくら投入するのかを考えることがポイントです。

頭金の金額を決定するには、購入を検討しているマンションを貸した場合の賃料を調べ、「周辺の賃料相場」を知っておくことが大切です。

その上で【想定賃料額】が、
【住宅ローン返済額+管理費+修繕積立金+固定資産税等の月割分の合計額】を絶対に下回らないようにするためには頭金をいくらいれなければならないか?という視点から、頭金額を考える必要があります。

また、売却する時にいくらくらいで売れるのか?
リセールバリューや、過去10年、20年間の成約価格の推移なども調べ、もし、購入しようとしているマンションを10年後、20年後に売却した場合、絶対に、住宅ローンの残債が売却価格を上回らないように頭金額を設定することが必要です。

ですので、適正な頭金額は、その方の資金状況や今後の収入の見通し、購入しようとしている物件のエリアの賃料相場や、価格相場によって、変わりますので、一律に「2割」でもなければ、「無し」でもありません。

例えば、利便性の良い山手線の駅徒歩5分の場所にある3,500万円で買ったきれいなマンションを購入しようかどうか検討する段階で、調査した結果、10年後も3,500万円で売れ、賃料16~17万円で貸せる可能性が極めて高いのであれば、頭金を入れなくても大丈夫なケースもありますし、マイナー路線の準郊外の駅徒歩12分に3,500万円で買おうとしているマンションを調査した結果、10年後に2,600万円になってしまい、貸したら11万円くらいでしか貸せないというのであれば、頭金は3割以上入れておかなければ危険ということもあります。

変動金利と固定金利、どちらにするか?

考え方の基本として、超長期固定金利(例えば35年間ずっと金利がかわらない)の住宅ローン金利が低くなってきている今、やはり、原則的な考え方として、「全期間固定金利(超長期)」でローンを組むと仮定することが基本と思われます。

不動産会社の営業マンからは『他のほとんどの皆様は変動金利でお借りになっています』と、変動金利を奨められるかもしれませんが、変動金利はその名の通り『変動』しますので、金利上昇リスクがあることから、きちんとしたリスクヘッジが必要となります。

今だけを見て『月々の返済額が低いから』という理由だけで変動金利ローンを組むと、将来、金利が上昇した時に支払いが難しくなり破綻してしまうケースも考えられます。

しかし、考え方のベースとして、本来「全期間固定金利」の返済額を支払うことができる方が、「全期間固定金利」で借りたと仮定して、その上であえて戦略的に「変動金利」で借り、実際の変動金利の返済額と固定金利で組んだと仮定した支払い額の差額をきちんとプールしておくことにより、いつでも返せる状態をつくっておけるのであれば、それはよいと思います。

不動産コンサルタント 後藤 一仁

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