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河野創

働き方改革と海外人事労務に強い社会保険労務士

河野創(こうのはじめ) / 社会保険労務士

青山人事労務

コラム

60歳定年再雇用と大幅給料ダウンの関係

2020年11月8日 公開 / 2020年11月13日更新

テーマ:労務 人事 青山 就業規則 定年再雇用

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 働き方改革労働基準法 違反人事制度 設計


同一労働同一賃金とは


いわゆる同一労働・同一賃金という言葉を最近よく聞きます。
【仕事の内容が同じならば、給料も同じでなければならない】ということです。
わかりやすい例として、長澤運輸事件という判決があります。皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

60歳になったトラックドライバーが、以前とまったく同じ運転業務をしていたにも関わらず、60歳定年再雇用によって給料ダウンされてしまいました。

60歳以前も、60歳以後も明らかに同じ内容の仕事をしているのに、定年再雇用という理由だけで給料ダウンをする。これは違法であるという大変わかりやすい判決です。

★長澤運輸事件の判例とは
https://suplab.jp/workhanrei819091/

定年再雇用で給料を大幅ダウンできる制度


同一労働、同一賃金であれば、どうして60歳で定年再雇用されると、給料が半減したり、ひどいときには1/3にまで下がってしまったりするのでしょうか。
それができるのは、こういうロジックを使っているからです。

60歳定年再雇用制度とは


60歳の定年になる前は、年収900万円の部長(役員でなく従業員)がいたとします。
この部長が60歳になると、定年と同時に今度は嘱託として年収300万円で再雇用されます。
嘱託としての仕事の内容と責任は、部長としての仕事の内容と責任と比べると内容も責任も軽くなります。こうした場合は【同一労働・同一賃金】にはなりません。

したがって60歳の再雇用を機会に大幅な賃金ダウンが許されることになります。

65歳定年延長とは


60歳定年再雇用とよく似た言葉に【65歳定年延長】があります。
60歳で再雇用して、65歳まで働くのと、60歳の定年を65歳まで延長するのと何が違うのでしょうか。

結論からいうと、60歳で再雇用した場合は、給料の大幅ダウンは認められます。
しかし、65歳定年延長の制度の会社であれば、60歳になっていきなり部長を嘱託にして給料を大幅ダウンしたら、会社が社員から訴えられることになりかねません。万一訴えられたら、まず会社は負けるでしょう。

どうしてそんなことになるのでしょうか。
それは次回のコラムでご説明します。

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