マイベストプロ大阪
原聡彦

医療経営指導の専門家

原聡彦(はらとしひこ) / 医業経営コンサルタント

合同会社 MASパートナーズ

コラム

クリニックの広報に役立つ院内新聞

2018年4月9日 公開 / 2018年9月17日更新

テーマ:院外事務長の視点

コラムカテゴリ:ビジネス

(ご相談内容)
開業3年目の整形外科クリニックの院長から「開業以来、4カ月の1度の頻度で院内新聞を発刊しています。開業3年目になると新聞のネタ(記事内容)も一回りしていて、記事の内容を決めるのにものすごく時間がかかっています。院内新聞の記事内容を決める良い方法をご教授ください。」というご相談を頂きました。弊社がサポートしているクライアント様の事例を通じて回答させて頂きます。

(回  答)
院内新聞の記事ネタは続けば続くほどネタづくりに苦戦してしまいます。そこで、患者さんにフォーカスをあてた記事ネタを作っている事例をご紹介いたします。
1.患者さんに登場してもらう
 当院のファン患者さんにインタビュー記事を毎回、掲載頂いております。患者さんの選定はファン患者さんを選定頂く事がポイントです。ファン患者とは当院に1年以上通院している方で当院を積極的に紹介してくれる患者さんです。また、良い事も悪いところもご指摘頂ける患者さんもいいと思います。

2.インタビュアーはスタッフが行う
スタッフから患者さんにインタビューを行う事で当院の良さやスタッフがやっている事を承認してもらえる場になりスタッフにとっては大きな励みになります。インタビューを終えたスタッフの感想を聞くと、「私たちが日頃やっている事が患者さんに喜んでもらっている事がよくわかってよかった」「日頃、やっている事の意味や価値に気づかせてもらえた」「私たちの仕事が認めてもらえてとても嬉しい」など、患者さんから気づきや承認を得たという声をたくさん聴きます。私が言うのもなんですがコンサルタントがやる接遇研修より、効果は何百倍もあると実感するのでぜひ実践頂きたいと思います。

3.インタビュー内容はあらかじめ決めておく
インタビューする患者さんの中には話好きの人や大人しい人、いろんな方がいらっしゃいますのでインタビューの質問項目は、あらかじめ決めておくことをお勧め致します。弊社では事前にスタッフとミーティングを行い決めておりますが、おおむね下記のような質問となっています。
・なぜ、数多あるクリニックから当院を選んで通院して頂いているのか。
院長と患者さんとの関係がわかったり、院長が患者さんにどのように関わってこられたのか。患者さんのエピソードを知る事ができます。また、院長の素晴らしいところをスタッフに患者さんの口から伝えてもらえるので職場の帰属意識を高めることができます。

 ・当院の良いところは?
  当院の良いところを患者さんから直接、聞く事で当院の良さを把握できます。スタッフが日頃、何気なくやっていることの意味や価値を知る機会にもなります。
例えば患者さんから「娘がクリニックの近くに住んでいて娘から勧めてもらったのがきっかけで、もう10年以上は、お世話になっていると思います。クリニックに行くと、先生もスタッフも笑顔があり、院内も掃除も行き届いていて清潔感があって好感が持てます。そして、スタッフは皆、やさしくていう事がない。」という感想を頂いたクリニックのスタッフは日々やっているクリンネス(決められた箇所を毎日、掃除を行う)の価値を知ることになりました。院長も「患者さんから教えられる事が多い。」とお話されました。

・当院に期待することは?
 当院の課題(問題)ではなく、あえて当院に期待している事を質問致します。「当院の課題や直した方がいいところは?」と聞くと、患者さんによっては「悪いところなんかないよ」と気を遣っておっしゃる方もいらっしゃいますが、「当院に期待することは?」と聞くとほとんどの患者さんは回答してくれます。例えば、「病気についてパンフレットをたくさん置いているけど、多くの患者さんは読まないので啓蒙する機会を作ってもらいたい」「待ち時間に外へ出ても大丈夫にしてほしい」「介護保険でもできるリハビリを実施してほしい」など要望事項が出てきます。もちろん、できる事とできない事があると思いますが当院の期待事項を聞くこと機会になると思いますので今後の事業展開にも役に立つと思います。

患者さんの声を院内新聞などクリニックの広報媒体に掲載することは単なる広報だけでなくスタッフへの教育にも役立ちますのでぜひ実践頂きたいと思います。

この記事を書いたプロ

原聡彦

医療経営指導の専門家

原聡彦(合同会社 MASパートナーズ)

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