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原聡彦

医療経営指導の専門家

原聡彦(はらとしひこ) / 医業経営コンサルタント

合同会社 MASパートナーズ

コラム

患者さんのセクハラ行為に対処するポイント

2018年9月17日

テーマ:院外事務長の視点

コラムカテゴリ:ビジネス

中国地方の内科クリニックの院長より「特定の患者からスタッフがスタッフの体をわざと触るというセクハラ行為を受けている。患者さんなのでどのように対処すればいいか?お教え頂きたい」というご相談をいただきました。クリニックの職場は女性が多い事から「患者さんから不必要な体への接触」「スマートフォンなどで盗撮」「患者さんからデートのお誘い」「軽いストーカー行為を受けているスタッフがいる」など患者さんからのセクハラ行為に困惑してしまう院長のご相談を受ける事が増えてきています。そこで、患者さんのセクハラ行為に対処するポイントをお伝えしたいと思います。

1.ターゲットになりやすいスタッフのタイプ
患者さんに、優しく、親切、丁寧にという接遇の基本をきちんと守り、また、生まれ持ったほんわかとした温もりがにじみ出ているタイプのスタッフは、患者さんから好意や微妙なメッセージをいただくケースがあります。例えば、電話番号を書いたメモをスタッフのユニフォームのポケットに入れ込んでくるケース。「今度、ご飯でも食べに行こう」みたいなメッセージが入っています。弊社のクライアント様の事例では、「愛を語る詩を書き綴りました、読んだら捨てて下さい」などと書いてあり、発言は控えめ、行動や文面は大胆といったケースなどに遭遇した事例があります。
クリニックの場合、スタッフはほぼ女性ですから、年齢層にかかわらず男性の患者さんから好意を持たれ、やがてセクハラ行為に発展するケースが増えております。セクハラ行為のある患者さんの対応策を多くのクリニックはもっているわけではありませんのでセクハラ行為のある患者さんからスタッフを守るための仕組みをつくることをお勧めしたいと思います。

2.院長がスタッフへ伝えるべき事と患者さんへ伝達する方法の事例
☆セクハラ行為に対してクリニックの姿勢をスタッフへ伝達した事例
セクハラ行為からスタッフを守るというクリニックの姿勢をスタッフへ周知して頂くことをお勧め致します。全スタッフへ伝達する機会がないクリニックでは院長からの業務連絡ということで下記の文面を配布しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
スタッフの皆さんへ
お疲れ様です。
先日、ある患者さんからスタッフのスカートの中を盗撮している患者さんがいる旨の報告がありました。患者さんからセクハラ行為(体への不必要な接触や盗撮など)があれば一人で悩まず、深刻な事態になる前に院長またはコンサルタントの原氏に早めにご相談ください。スタッフの皆さんが、安心して働き続けることのできるよう職場環境を守っていきたいと考えております。
例えば、セクハラ行為を行う患者さんが特定できている場合は1対1の対応ではなく必ず2名で対応する事やセクハラ行為の予防策としてユニフォームをズボンにすることも検討しておりますので、良いアイデアがあればご提案ください。
セクハラ行為を受けた場合は、くれぐれも一人で悩まずご相談ください。    
                           〇〇内科クリニック
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

☆「誰が」「どのタイミングで」注意喚起するか、判断する基準をチェックリストの事例
  ◇院長に患者さんと直接話してもらい解決してもらう程の困った事態か?
◇患者さんは、そうされなければいけない程のことをされたのか?

※上記の判断から対応策は院長が出て話すか、スタッフが毅然とした態度をとるかに分かれます。
◇患者さんからターゲットとなるスタッフを援護する体制を作る(2名体制で行う)。
◇院長が伝達する場合は、ナースもしくは他のスタッフなど、第3者を立ち会わせる。

☆セクハラ行為を注意するセリフとして
・事実確認
「当院スタッフに「〇〇という行為があった」旨、報告を受けているが事実なのか?」
 ・事実を認めた場合
「今後、このような行動があった場合、当院での診察ができなくなるので厳にこのよう
な行為は謹んでもらいたい。」
 ・事実を認めない場合
「勘違いされる行動をとらないよう注意を促す。今後、同じような報告があれば、当院
での診察ができなくなるので注意して頂きたい。」
 
 ・手紙やプレゼントを特定のスタッフに渡す患者に対して
「どんな小さなことでも患者さんからの頂きものや、感謝のお言葉は、院長に報告する
ことになっておりますので、お手紙お預かりしておきますね」

上記のように具体的なセリフを決めています。セリフを決めることで、スタッフは安心して行動がとれるようになったようです。また、患者さんのプライドや気持ちを傷つけることもできるだけさけなければなりません。
微妙なこともたくさんあると思いますがひとつひとつ丁寧に対応し、患者さんにとってもスタッフにとっても良い対応策をあらかじめ作って頂くことをお勧め致します。

この記事を書いたプロ

原聡彦

医療経営指導の専門家

原聡彦(合同会社 MASパートナーズ)

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