行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
法律概念の相対性
地方自治法第92条の2は、「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。」という規定を置いています。
この規定では「請負」だけが兼職を禁ずる対象になっていますが、それを民法の「請負」だけに限定すると「委任」や「売買」をする者やその支配人等になることは許されるという理屈になってしまします。
しかし、それでは均衡を失してしまいます。
そこで、地方自治法第142条でいう「請負」は、民法でいう「請負」だけでなく民法でいう「委任」や「売買」を含む「広く業務として行われる経済的ないし営利的な取引契約の全て」であると解釈されています(「新版逐条地方自治法〈第9次改訂版〉」松本英昭著/学陽書房)。
このように地方自治法でいう「請負」と民法でいう「請負」では、同じ法令用語でありながらその意味内容が異なります。
これ、すなわち同じ法律概念(法令用語)が法律によって意味内容を異にすることは「法律概念の相対性」と言われます。