自治体がする契約 14 単年度主義と長期継続契約
指定管理者指定期間
1. 法の定め
地方自治法244条の2第5項は,「指定管理者の指定は,期間を定めて行うものとする。」と規定する。期間の上限は定められていない。
2.長すぎる期間の設定問題
合理的な理由もなく長期間の指定を行うことは,指定管理者の管理に対する検証,すなわち業務の見直しの機会を減少させるとともに,競争の導入による指定管理者に対する規律の付与が困難になるといった競争環境の導入の観点から妥当ではないと一般的に考えられている。そのため,指定管理期間は原則として3年から5年とするのが一般的のようである。
参考までに,岡山県総務部行政改革推進室が作成した「指定管理者制度運用の手引き」(令和5年4月改訂版)には,「指定期間は,5年を原則とする。」とされている。
また,岡山県における「施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査」では,指定期間が3年から5年が大半を占めており,10年以上は極めて稀であることが分かる。、指定期間は3年から5年が原則であることに留意して指定期間を定めるべきであろう。
3.5年ごとの設定は可能か?
可能である。ただし,地方自治法244条の2第5項は,「指定管理者の指定は,期間を定めて行うものとする。」と規定し,同条6項は,「普通地方公共団体は,指定管理者の指定をしようとするときは,あらかじめ,当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」と規定しているので、5年ごとに設定するということは,再度「指定管理者の指定」を行うことに該当する可能性があるため,その際にも議会の議決を経る必要があるものと思われる。
4 総務省の見解
総務省 地方公共団体における公共施設等運営権制度導入手続調査研究 報告書7頁には、「指定管理者制度においては,指定管理期間全体にわたる事項について基本協定を締結するとともに,各事業年度において,当該年度の指定管理料等の事項についての実施協定(年度協定)を締結するのが通例とされており、その上で,上記「施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査」によると,協定書には,まず,「施設の種別に応じた必要な体制に関する事項」について記載し,また,「損害賠償責任の履行の確保・リスク管理に関する事項」として,①地方公共団体への損害賠償について,②利用者の損害賠償について,③施設の修繕について,④備品について,⑤緊急時の対応についての5項目を記載することが多いようである。