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M&A 2 経産省がM&Aを強く推奨する時代になった

菊池捷男

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テーマ:コーポレートガバナンス改革

2 経産省がM&Aを強く推奨する時代になった

 経産省は、2023年6月8日に、「企業買収における行動指針(案) ― 企業価値の向上と株主利益の確保に向けて ―」を公表し、パブリックコメントの受付を開始したとき、この行動指針(案)に、それまでなら「敵対的買収」という言い方で語られていた買収対象企業経営陣の意思に反する買収を、「同意なき買収」という表現にし、「同意なき買収」でも大いに結構で、そのM&Aが
➀企業価値・株主共同の利益の原則、
②株主意思の原則
③透明性の原則
という3つの原則を満たしている限り、これを積極的にすべきであると推奨した。

 ちなみに、同年1月27日時点では、マスコミもこの「同意なき買収」を「敵対的買収」という用語で報道していた。これは、同日付の日本経済新聞の記事の見出し「敵対的買収、対象企業も取締役会で検討を 経産省が指針」で明らかである。

 このように経産省は、経営人の主観の入った「敵対的買収」という用語を、中立的・客観的な「同意なき買収」という用語に一本化し、企業にM&Aを進めるよう発破をかけてきたのである。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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