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47 コーポレートガバナンスの肝は、経営者目線から株主目線に

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テーマ:コーポレートガバナンス改革

47 コーポレートガバナンスの肝は、経営者目線から株主目線に

(1)「敵対的買収」とはいわず「同意なき買収」で統一
 経産省は、2023年*月*日付け「企業買収における行動指針(案) ― 企業価値の向上と株主利益の確保に向けて ―」を公表し、買収「対象会社の取締役会の賛同を得ずに行う買収」を「同意なき買収」という用語で語る旨を明らかにした。
 この「同意なき買収」という用語は、それまでなら「敵対的買収」という言い方で語られていた買収である(日本経済新聞2023年1月27日付け記事「敵対的買収、対象企業も取締役会で検討を 経産省が指針」参照)。

 また、同行動指針(案)は、3つの原則(基本原則)として、➀企業価値・株主共同の利益の原則、②株主意思の原則および③透明性の原則を挙げた。
要は、経産省は、買収対象企業経営陣の同意のない買収をすることは“悪”とのイメージが持たれやすかった「敵対的買収」という言葉は適切な用語ではないことをあきらかにし、買収対象企業の経営陣の同意なき買収も、買収対象企業にとって➀企業価値・株主共同の利益に資するものであり、②株主意思に適うこと、③その手続に透明性が確保されるかぎり、積極的に行うことを推奨したのである。

 この経産省の考えは、M&Aに限らず、上場会社がなすべき全ての経営施策につき、経営者目線からその適否を考えるのではなく、株主目線から考えるべきだという考えといいえよう。
これはコーポレートガバナンス改革の一つの成果といえよう。

(2)反応
この経産省の公表した指針(案)を受けてすぐの2023年7月13日、東証プライム上場のニデック(旧商号は日本電産)は東証スタンダード上場の工作機械メーカーTAKISAWA株を公開買い付け(TOB)すると発表した。ニデックの代表者の言によれば、経済産業省が示した新たなこのM&Aの行動方針(案)に力を得たとのことである。
なお、ニデックがTAKISAWA株を公開買い付け(TOB)すると発表した直後、TAKISAWA株は急騰した。
これは資本市場も、同意なきM&Aを容認したと評しうるであろう。

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