6.仏つくって魂を入れ忘れた東芝の例
40.CGコードが説く社外取締役の選任基準と負担軽減
(1)上場会社に求められる社外取締役の基準
社外取締役は、誰でもいいというものではない。
上場会社は、次の➀から④の手順に従って、社外取締役を選任しなければならない。
➀独立性の判断基準の策定・公表
CGコードは、上場会社に対し、社外取締役人選の前に、独立社外取締役となる者の独立性の判断基準を策定・開示することを求めている。
②要求するスキルの特定
CGコードは、上場会社に対し、社外取締役人選の前に、社外取締役に求めるスキルを、あらかじめ、いわゆるスキル・マトリックスなどを作った上で明らかにすることを求めている。
③ 兼任制限をすること
CGコードは、上場会社に、選任対象になる社外取締役が他社の社外役員になる数に制限を設けることを求めている。
人数の定数は定めていない。
しかし、アメリカのスタンフォード大学には、教授は3社以上の会社のボードメンバー〈役員〉には就けないというルールがある(プレジデント2023.6.2号大前研一氏の論説より)ようなので、各上場会社にも、具体的な定数をもって、兼任数を制限すべきであろう。
当該社外取締役には、それぞれ本業があるはずで、本業も熱心にし、上場会社の社外役員も熱心にすることは、自ずと限界があるはずだからである。
この点は、スタンフォード大学の見識に学ぶ必要があると思われる。
(2)社外取締役の負担軽減の配慮も必要
機関設計が指名委員会等設置会社の場合は、経営陣(執行役)と監督者(取締役会)の機能分化がなされているので、社外取締役の取締役会における審議事項に関する負担は、それ以外の機関設計の会社ほど重くはないが、監査役会設置会社と監査等委員会設置会社の場合は、社外取締役の知見が求められていない議案については取締役会の審議から解放してあげる必要があるであろう。
CGコードの補充原則 4-12において「執行側に任せることが相応しい議案については執行側に決定権限を委譲し、取締役会には報告のみにする等、取締役会の議案を絞り込み、重要な議案の議論に注力するべきである。」と規定されているからである。