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18 社外取締役の受難の時代とは、玉が残り、石が消え去る時代でもある

菊池捷男

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テーマ:コーポレートガバナンス改革

18 社外取締役の受難の時代とは、玉が残り、石が消え去る時代でもある

 我が国の上場会社は、コーポレートガバナンス改革道半ば、という感が強い。
(1)アクティビストや世間から指弾を受けた社外取締役の例
2023年2月のこと。
 フジテックの社外取締役が、同社の前社長が取締役でなくなったのに、その人物を取締役会会長にする会社の案に賛成し、そのためアクティビスト(物言う株主)より取締役の解任案が出され、臨時総会の場で、解任されてしまった。
2023年4月に入って。
 国土交通省元次官が、2022末に東証プライム市場上場企業の空港施設という会社に出向き、2023年6月に予定された株主総会後に同省出身の副社長を社長に昇格させるよう求めていたことをマスコミに暴露されるや、翌日、問題の同社副社長は辞任。それだけでなく、国土交通大臣がこの元次官2人の実名を公表。空港施設は空港施設で、この件を調査するため独立検証委員会を立ち上げるという、機に臨み変に応じた、迅速な対応が採られた。
これが世間の常識というもの。
しかし、この世間の常識が、社外取締役全員に見られるであろうか?

(2)社外取締役選別基準の一例か?
 インターネットで検索してみると、某経済ジャーナリスト氏の発言として、
①社外取締役にふさわしい人物の選別は難しい。
②社外取締役を選任する上場会社としては、会社内部のことにあれこれ口出しされたくない。
③そこで、無難であり、かつ、企業イメージを高める効果のある有名人を社外取締役にする傾向がある。
という趣旨のことが書かれていた。

 上場会社の中には、このような社外取締役選任基準を持っている会社もあるのだろう。
 そして、その観点から選任して、自家薬籠中の物となった社外取締役を抱え込んだ上場会社も多いのであろう。
 しかし、この中には、玉もあるだろうが、石の方が多いのではないだろうか。
株主の目で見て。

(2) さあ、人材の海に網を投げ入れてごらんなさい

 あなたがたは、社外取締役にふさわしい人物はいないと言うが、沖に漕ぎ出し、人材の海である機関投資家の世界に目を向け、網を投げ入れてごらんなさい。
魚籠に入りきらないほどの大漁の人材を見いだすことができるであろうから。

 機関投資家は、常に株主目線で物事を考えている。
それも自社のみの利益の確保という狭い視野はもたず、ESG投資であるとか、SDGsという政策課題に応えうる投資を考えている。
 そのような視点と視座をもつ保険会社、投資信託、信託銀行、投資顧問会社、年金基金などの機関投資家の中から、社外取締役を探すべきではないか。

 日本の上場会社のコーポレートガバナンス改革を進化させるためには、会社の自家薬籠中の物になる社外取締役を選ぶのではなく、株主目線から選ぶべきではないかと思われるのが、その理由である。
それには、立法論として、機関投資家からもっと多くの人材を社外取締役に選任できる道を開くべきだと思われる。

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菊池捷男(弁護士)

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