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株主総会資料の電子提供制度の創設についてのメモ

菊池捷男

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テーマ:企業法務の勘所

 株主総会資料の電子提供制度の創設についてのメモ
1.根拠
2022年9月1日に施行された改正会社法325条の2以下
2.適用開始時期
2023年3月以降に開催される株主総会から。
3.概要
株主総会資料の全部についてインターネットを通じて株主に提供できるというもの(株主の個別承諾は不要)
*印刷コスト節減効果が大きい。上場会社の場合年間平均して1億円程度あると言われている。
4.定款変更の要否
(1)上場会社場合
この制度の採用は義務であるので、定款変更をしなくとも、定款変更をしたものともなされている。現実にはほとんどが定款を変更している模様であるが。
(2)非上場企業の場合
この制度を採用するかどうかは任意であるが、採用する場合は、定款変更の必要がある(会社法は325条の2)。

・・・・・
定款例
(電子提供措置等)
第○条 当会社は、株主総会の招集に際し、株主総会参考書類等の内容である情報について、電子提供措置をとるものとする。
 2 当会社は、電子提供措置をとる事項のうち法務省令で定めるものの全部または一部について、議決権の基準日までに書面交付請求した株主に対して交付する書面に記載しないことができる。
・・・・・

5.登記の要否
この定めは登記事項になっている(会社法911条3項12号の2)。
6.株主総会資料の電子提供措置の具体的内容
電子提供措置は、情報が入ったPDFファイル等の電子データをインターネット上のウエブサイトにアップロードして株主において閲覧またはダウンロードできる状態にすることをいい、株主がプリントアウトできる形式で行わなければならない(会社法施行規則95条の2、222条1項1号、2項)。

7.電子提供措置事項
以下の7つである(会社法298条1項各号)。
 ①招集通知の記載事項
 ②議決権行使書面に記載すべき事項
 ③株主総会参考書類に係る議案の要領
 ④株主提案に係る議案の要領
 ⑤計算書類および事業報告の内容
 ⑥連結計算書類の内容
 ⑦電子提供措置事項を修正した旨および修正前の事項
8 書面交付請求も可能
株主は、(電子提供措置をとる旨の定款の定めのある)会社に対して電子提供措置の事項を記載した書面の交付」を請求することができる(会社法325条の5第1項)。ただし、電磁的方法により招集通知を受けることについて個別の同意(会社法299条3項)をした株主は書面交付請求をすることができない。
書面交付請求は、いつでも行うことができるが、株主総会の基準日までに請求すれば、アクセス通知とともに書面の交付を受けることができる(会社法325条の5第4項)。
一度書面交付請求した場合は、撤回しない限り、その後のすべての株主総会で有効であるので、ある株主総会の基準日までに書面交付請求が間に合わない場合であっても、その後、開催される株主総会についても書面の交付を受けることができる(前田雅弘「株主総会資料の電子提供制度」(日本取引所グループ金融商品取引法研究会)、邊英基「株主総会資料の電子提供制度」会社法務A2Z189号8頁以下等参照)。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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