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法令用語は、共通言語 ゾンビ企業という用語に関して

菊池捷男

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テーマ:企業法務の勘所

法令用語は、共通言語
 近年、「ゾンビ企業」という言葉を、新聞で見ることが多くなったが、この言葉は、我が国では法令用語ではないので、定義(意味づけ)が与えられていない。

 大辞泉には、「ゾンビ」の意味を、「ブードゥー教で、まじない師が生き返らせて操る死人。また一般に、呪術などによって生きた姿を与えられた死体」と書かれているので、「ゾンビ企業」とは、倒産した企業というイメージにつながる言葉だということが分かる。
そうであれば、債務超過で青息吐息の企業でも、経営をしている限り、ゾンビ企業ではないことになる。

 ところが、日本経済新聞2022年12月15日 限定版によれば、「ゾンビ企業」という言葉は、国際決済銀行(BIS)によって、「①設立後10年以上の会社で、②3年以上営業利益で貸出利息を支払えない企業」を言うものと、定義付けができているようで、これが「ゾンビ企業」の定義の国際基準だと書いている。

 我が国の調査会社が発表するゾンビ企業の数は、国際基準で算出した数より、格段に少ないようであるが、ある用語を経済指標として使うのなら、世界各国共通の定義(意味づけ)を設け、共通の基準が必要なので、我が国もそれに倣うべきであろう。

ところで、我が国の法令用語は、我が国共通の言語である。人により企業によって意味(定義付け)が異なるというものではない。
 したがって、契約書や報告書を、法令用語で書くときは、意味は一義的明確性を持って理解されることになる。

 しかしながら、企業法務の担当者が、彼または彼女が考えついた用語をもちいて契約書や報告書を書いたとしたら、どうなるであろうか?
実務が大混乱に陥ること、必定である。
であるから、企業法務担当者は、法令用語を使うべき場合は、必ず法令用語を使わねばならないのである。
法令用語は、経済人にとっては、共通言語であるはずだからだ。

 なお、前記日本経済新聞記事によれば、我が国では金融機関が、国際基準ではゾンビ企業になっている企業を、日本基準でのゾンビ企業にしないため、必要のない資金を当該企業に貸し付けていること、その一例として、名古屋市に本店を置く中日信用金庫が、取引先企業(実質ゾンビ企業)に対し、無利子・無担保融資(通称、ゼロゼロ融資)を受けさせるため、当該企業の業績を改ざんしていた(ゼロゼロ融資の取扱件数約3700件のうち79件もあった)ことが分かり、本年9月30日東海財務局が同信用金庫に業務改善命令を出したことなどを報じ、かつ、これを金融機関のモラルハザードだと断じている。

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