賃借人が賃借建物内で死亡していたとき
駐車場に関する賃貸借契約 裁判例の紹介
1.保護されなかったケース
東京地裁平成31年2月13日判決は、「本件駐車場は屋根こそあるものの,周壁を有しておらず,隣の駐車場と壁によって客観的に区別されているとはいえないし,また,本件建物の居住者であれば誰でも本件駐車場を通って本件建物を自由に出入りし得る状態にある以上,被告(賃借人)の独立的,排他的な支配が可能であるとはいえ」ないとして、したがって、この件の駐車場は借地借家法の適用を受ける「建物」に該当しないとして駐車場契約に対する借地借家法の適用を否定しました。
2.保護された駐車場
カラオケボックス営業のための建物賃貸借契約とあわせて締結した駐車場の利用契約の更新拒絶による明渡請求の可否が争われた事案で、福岡高裁平成27年8月27日判決は「賃貸借の目的である各不動産の位置関係,利用状況,各不動産の契約内容等を総合的に勘案すれば,本件各契約はカラオケ店営業のために事実上一体として締結されたものであって,カラオケ店営業のためには賃貸借の目的物件を駐車場として利用することが不可欠な状況である」「駐車場の利用契約が更新拒絶により終了しているとして明渡請求が認められることとなれば,建物の賃貸借契約の目的が達せられないこととなり,建物の賃貸借契約の更新拒絶あるいは解約申入れについて賃借人の保護と賃貸人との利益調整の観点から正当事由を要求した借地借家法の趣旨に明らかに反する結果となり」「駐車場契約の更新拒絶をすることは権利の濫用にあたる」ので許されないと判示しました。
たかが駐車場、されど駐車場と言うべきか・・・