法律家は、すべからず、名著「過失犯の構造」を読むべし!
終わりの始まりの日とデュー・プロセス・オブ・ロー
1.終わりの始まりの日
2022年2月24日は、後世、歴史に残る、終わりの始まりの日と言われるのではなかろうか。
それは、帝国主義・専制主義の終わりの始まりの日になると思えるからだ。
すなわち、ロシアという国が、無謀にも、ウクライナに軍事侵攻を始めた日だからだ。
2.ウクライナの戦い
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この事件が発生して間もなく、イギリスの国会(下院)で、リモートにより、ウインストン・チャーチルの言葉を引用しながら、ロシアと最後まで戦う意志を表明されたことを新聞で読んだ。
引用したウインストン・チャーチルの言葉とは、あの有名な1940年5月の下院での演説のことではないだろうか。
すなわち、「「私は、ヒトラーと取引をするべきかどうかを熟考してみた。ヒトラーと取引をすれば、彼は、イギリスの艦隊を要求するだろう。海軍基地も要求するだろう。
やがて、空軍もヒトラーのものになるだろう。そして、イギリスには、ヒトラーの傀儡政府ができるだろう。そうなれば、イギリスは、奴隷国家になるだろう。諸君は、私が、一瞬でも、ヒトラーと交渉することや、ヒトラーに降伏することを考えたとしたら、一人一人が立ち上がり、私をこの地位から引きずり下ろすだろう。私は確信している。名誉と歴史のある私たちの国イギリスが途絶えるのは、私たちの最後の一人が、地に倒れ伏した後であることを。」というものであった。
恐らく、ゼレンスキー大統領は、ウインストン・チャーチルのこの言葉の中のヒトラーをロシアに、イギリスをウクライナに、言葉を変えて、演説したに違いない。イギリス下院議員の熱狂が想像される。
3.デュー・プロセス・オブ・ロー
今、NATOは、NATO各国にあるロシア政府や国家機関の資産を差し押さえているが、オリガルヒ(新興財閥)の財産も差し押さえているようだ。
そして、今、それらを処分・換金して、そのお金をウクライナの復興に使いたいという気持ちが強いようだ。しかし、オリガルヒは民間人だ。民間人の財産を処分するにはそれなりの法的な根拠が必要だ。それがデュー・プロセス・オブ・ローだが、今、欧米では、このような議論が出、民間人の財産については、今のままでは処分の根拠を欠くという論調の方が強いと聞く。
さすが民主主義の国だ。デュー・プロセス・オブ・ロー(法の適切な手続)は、戦争中でも有効かつ必要なのだから。