ロータリー19 多様性は、公平性によって担保されるもの
ロータリーの中核的価値観の一つに多様性があります。多様性があるところ、勝利が約束されている感があります。
そのエビデンスを一つ紹介します。それは、紀元前3世紀にあった、項(こう)羽(う)と劉(りゅう)邦(ほう)の戦い(別名:楚(そ)漢(かん)の戦い)における漢軍の勝利です。この戦いは、貴族出の項羽に率いられた楚軍と、農民出の劉邦に率いられた漢軍との戦いでしたが、劉邦軍には、大(たい)局(きょく)観(かん)を持った戦略家の張(ちょう)良(りょう)がいました。張良は、劉邦自身が「帷(い)幄(あく)の中(うち)に謀(はかりごと)をめぐらし、千里の外に勝利を決した」と評(ひょう)するほどの戦略家でした。彼は、劉邦が項羽に殺されそうになる事態(鴻(こう)門(もん)の会)を事前に予測して、戦略を立て、劉邦の命を救っています。
次に、韓(かん)信(しん)がいました。韓信は、背水の陣で有名な軍事の天才です。項羽軍を垓(がい)下(か)に誘い込み四(し)面(めん)楚(そ)歌(か)の策を施して滅ぼします。そのほかにも、蕭(しょう)何(か)、陳(ちん)平(ぺい)など、漢軍には多(た)士(し)済(せい)々(せい)の臣下がいたので、項羽に勝てたのです。
一方、項羽軍には、謀(ぼう)臣(しん)といえる人物は范(はん)増(ぞう)がいただけでしたが、その范増も、陳平の策で、項羽から遠ざけられた結果、人材は払(ふっ)底(てい)してしまいます。かくて、多様性に富んだ劉邦軍が、人材の払底した項羽軍を破り、天下を統一したのです。ですから、楚漢の戦いは、多様性の勝利といっても間違いではないと思います。
多様性は、現在、多様な意味を込めて、普(ふ)遍(へん)的(てき)な価値観として、人(じん)口(こう)に膾(かい)炙(しゃ)すること頻(ひん)繁(ぱん)です。ロータリーにも、多彩な職業、女性会員の増加、年齢層の厚み、外国人の入会など、実に多様な様相の変化が見られます。
文化的多様性は人類の遺産である、というユネスコ宣言もあることだけに、私たちは、多様性を大切にしていきたいものと思います。