言葉7 ウインストン・チャーチルが磨いた言葉の例
前コラムに書いたウインストン・チャーチルの言葉は、彼の辛辣(しんらつ)な言葉の使用癖(しようへき)からでた言葉だと思いますが、彼の辛辣な言葉の使い方については、妻であるクレメンティンは、日頃、心を痛めていました、
彼女は、1940年6月27日付けの手紙で、夫であるウインストン・チャーチルに、次のような手紙を渡しています。「親愛なるあなたへ・・・あなたの側近の一人が私のところへ来て、あなたが同僚や部下からひどく嫌われているようであると伝えてくれました。・・・原因は、あなたの辛辣、横柄な態度です。・・・これらはすべて、私自身も、気が付いていることです。あなたの今のような態度では、部下その他の人から、良い案も悪い案も出てこないと思います。・・・あなたの巨大な権力に、上品な振る舞い、思いやりを添え、あなた自身は超然と構えていてほしいのです。短気や無礼からは最高の結果は生まれないと思うのです。かえって部下や同僚から嫌悪感を持たれ、彼らが奴隷精神につながるのは必至です。・・・どうかあなたを愛し、尽くし、見守るこの私をお許しください。クレミー」と書かれた手紙です。
映画「映画「ウィンストン・チャーチル 映画ヒトラーから世界を救った男」でも、彼女が夫に対し、言葉遣いを改めるよう、善言(ぜんげん)を呈(てい)する場面が描かれています。
善言は、多くの場合、聞かされた時、意味は容易には分かり難いもの。その意味が分かるのはずっと後になって、という場合が多いのです。善言の言わんとするところが、すぐには分からない。分からないから、耳を貸さないのか。
分からないが、善意から言ってくれているのだから、自分自身の足下(あしもと)を見つめ直そうとしてみるのか。前者の人より、後者の人になりたいものです。
善言は、大切にしたいものです。