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コラム18 習(なら)い、性(せい)

菊池捷男

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テーマ:コラム50選

「習い性」と書かれることの多い言葉ではありますが、正しくは「習い」の後に読点(とうてん)を打って「習い、性」と書くのが正しい書き方の言葉です。意味は、習い、つまり習慣は、続けていけば、おのずと性、つまり性質になるというものです。辞書では「習慣は、ついにはその人の生まれつきの性質のようになる。」と書かれています。これまでに書いたプラスの言葉や、責めないこと、褒(ほ)めること、労りなどを、付け焼き刃(つけやきば)にしないで、「習い、性」にできると、本人も、周りの人も、楽でしょう。

これらのことを身に付けてしまうまでは、無理をして、努力をしてする習いであってもよいと思います。これを習慣にしてしまえば、勝ちです。自らの心の中に、人の美点や長所を探そうとする習慣ができます。これができると、世界が広がります。あんちくしょうめ、嫌な奴だ、失敗を探し、欠点を言い立てて、悪口を言ってやろう、などという自分を貶(おとし)めるような発想は、百パーセントなくなるでしょう。それは、貶(けな)すことを習慣としてきた私が言うのですから間違いはありません。私は、昔は、他人の悪口を言うことを趣味のようにしていた男です。しかし、この悪習を続けると、周りの人が全部敵に見えてきます。だれかが私の悪口をいっているように思えてきます。要は、疑心(ぎしん)暗鬼(あんき)が心に生まれ暴れ出すのです。そうなってしまうと、疲れてきます。心が乱れます。自分の顔にトゲが生えてきます。顔つきも悪くなってきます。誰かが私の悪口を言っているような気がして、いつもビクビクするようになります。このような不利益を考えるだけで、他人の悪口を言うなんてこたあ、やっていられないことが分かってきます。そこで、私は、百パーセント、方針を変えて、逆のこと、つまりは他人の長所や美点を褒めることを習慣化するべく努力を始めたのです。そうすると、周りの人に笑顔が現れてき、私の心に喜びが湧(わ)いてきます。落ち着いてもきます。ですから、他人の長所や美点に目を留(と)め、これを評価する習慣は大切だと思うのです。その習慣を続けていけば、「習い、性」となって、私でも大きく変化、成長するだろうと思います。「習い、性」は大切にしたいと思います。

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菊池捷男(弁護士)

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