2021/02/12 現代版「綸言汗の如し」
2021/05/06 ロータリーのいう「平和構築と紛争予防」①
ロータリーが目指す奉仕の対象(重点分野)七つの最初のものは「平和構築と紛争予防」である。
しかし、これは、直接にはロータリーがなしうることとは思えない。
このテーマを果たしうるのは、国家または国家連合が、安全保障としてなすべき事柄だと思うからである。
では、第一次世界大戦の戦勝国であった英米仏国やその国家連合が、第二次世界大戦を防止するに必要な安全保障策を採っていたかというと、採っていなかったというのがウインストン・チャーチルの弁だ。
具体的は、次のとおりだ。
第一次世界大戦の戦勝国は、第一次世界大戦が終わった後に、ドイツとの間で結んだベルサイユ平和条約で、
①事実上ドイツの領土を元のままに残したこと(これをフランスのフオツシュ元帥が知ったとき、「これは平和ではない。二十年間の休戦だ。」と予言したが、まさにこの言葉は的中した)、
②戦勝国はドイツに10万人を限度に軍隊を認めながら、戦勝国自身は戦艦を沈め、軍事施設を破壊し、兵隊の数を減らしたのである(フランスなど常備軍50万人を20万人に減らされている)。
その理由は、“勝者の武備を取り除かない限り、敗者の武備を解くのは道義に反する”と観念論が英米両国で採用されたことによるとのこと。
そのため、フランスは、第一次世界大戦の勝者でありながら、隣国のドイツにいつまた攻め込まれるかわからないという恐怖心をもって生活せざるを得ない状況におかれたのである。
その後、この恐怖心は、第二次世界大戦の勃発により、現実の悲惨につながっていったこと、歴史に明らかだ。
チャーチルに言わせれば、第一次世界大戦の戦勝国自身、その勝利に酔ってしまい、「慎重とか自制とか中道」という名のきれいごとを並べただけで、真に必要な安全保障の確立を怠ったのだそうだ。
そして、戦勝国の為政者に、正しい確信に根ざした不動の信念、理にかなった常識、思慮分別さえあれば、第二次世界大戦を起こさせることはなかったはずだと言うのだ。
(以下、明日に続ける)