2020/07/20 雲煙万里の彼方へ
2021/03/26 株主総会の完全電子化(バーチャルオンリー型の株主総会)が実現しそうだ
上場会社に関してだが、株主総会の完全電子化(バーチャルオンリー型の株主総会)が可能になりそうだ。
これまで、株主総会は、会社法上、「日時」と「場所」を決めねばならないため、また、ここでいう「場所」は株主が集まる特定の場所であると解されているため、バーチャルオンリー型の株主総会は認められなかった。
そのため、一部の株主は株主総会の会場へ現実に出席するが(いわゆる「リアル出席」)、他はバーチャルでの参加・出席(いわゆる「バーチャル出席」)をする形の「ハイブリッド型バーチャル株主総会」)が採用されてきた。
しかし、ハイブリッド型バーチャル総会は、リアル出席者とバーチャル出席者の双方の出席者を要することから、手間とコストがかかることなどが原因して、この方式を利用した上場会社は、全上場会社の約5%と少数にとどまった(日経「オンライン総会、運営丸ごと受託」2021年2月5日)。
その少なさ故か、政府は、産業競争力強化法の改正によって、株主総会の完全電子化(バーチャルオンリー型の株主総会)を認める方向に舵を切った(日経「総会電子化 阻む不作為」2021年2月6日)。
すなわち、同法の改正案は、2021年2月5日に閣議決定されたのだ。
今年6月の株主総会に間に合うようにするためである(改正法案附則1条1号では、法律の公布日を施行日とするのだ)。
その法案の内容は、「上場会社は、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることが株主の利益に配慮しつつ産業競争力を強化することに資する場合として、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合には、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる旨を定款で定めることができる」というものである。そのうえ、経産省および法務省から上記の「確認」をもらえば、バーチャルオンリー型の株主総会を可能とする定款の定めがあるものと「みなされる」ことにするので、改めて定款変更の株主総会を開く必要はなくてよいことにしたのだ。
以上の次第なので、新しいバーチャルオンリー株主総会は、今年の6月の株主総会から実現するであろう。