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2021/02/04 大企業のガバナンスはどうなっているのか?
本日付の日経新聞(有料会員電子版)は、「三菱電機が設計不正 自動車業界だます『偽の宣言書』」の見出しで、日本の誇る大企業がいまだにデータのねつ造をしている様子を報じている。
この問題は、データをねつ造した従業員の責任問題に、矮小化してはならない。
取締役、特に独立社外取締役の責任問題という面から、アプローチすべき問題である。
すなわち、取締役には、リスク管理システム整備義務があるが、この会社には、リスク管理システム整備義務が尽くされているのか?検証する必要があるであろう。
当然、独立社外取締役も複数置かれているはずだが、彼らは責任を果たしているのか?も問わなければならない。
今、日本の企業のみならず、世界の企業は全て、ESGに注力した経営が求められているのだ。その中のG(ガバナンス)は、2008年に起きたリーマンショック以来、他のE(環境)やS(社会)よりも早くから、その重要性が説かれてきたのだ。
金融庁と東京証券取引所は、2015年協同して、コーポレートガバナンス・コードを策定し(2018年に改定強化され、2021年には更なる改定強化も予定されている)、全上場会社に対し、その会社ガバナンスの確立と遵守を強く求めているのだ。
独立社外取締役には、上場会社にコーポレートガバナンス・コードを遵守させ、リスク管理システムを整備運用させる責任があるのだ。
本日付の日経新聞の記事を読む限り、同社の独立社外取締役が責任を果たしているとは到底思えない。
三菱電機は、直ちに第三者委員会を立ち上げ、この問題を検証すべきである。
大企業の不祥事は、すなわち日本の全企業の責任と信用問題である。
上場会社が不祥事を起こすとどうなるか?
2002年にあった牛肉偽装事件を引き起こした雪印食品は、発覚後経営が急速に悪化し、数ヶ月後廃業のうえ解散して会社は消滅した。
最近では、中国のカフェチェーン大手、瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)が2020年4月に不正会計をしていたのが発覚し、同年6月に米ナスダック市場の上場廃止になり、2021年2月5日、米ニューヨークの裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。
というように、信用を失い、会社は先行きは非常に暗いものになる。
であるから、三菱電機の場合、取締役の株主に対する責任だけでなく、日本の国に対する責任はあるであろう。
そこで、私は、明日の日記には、「取締役のリスク管理システム整備義務」について、書くこととする。
なお、三菱電機のこのたびの「設計不正」を、ロータリーの四つのテストに照らしてみよう。
1.真実かどうか? 虚偽は真実とはいわない。
2.みんなに公平か? 公平であろうはずはない。
3.好意と友情を深めるか?
上場会社に対する不信感を醸成するだけだ。
4.みんなのためになるかどうか?ならない。
まことに残念の極みである。
【後日譚】
2021/02/11付けの日経新聞記事によれば、
SBIホールディングスは、子会社のした資金の貸付先企業に「重大な懸案事項」の可能性があるとして、第三者委員会を設置し、同時にこの事象を金融庁に報告したとのこと。
この記事は、SBIホールディングスに、①リスク管理システムの整備ができていることと、②クライシスマネジメントが適切に
【後日追記】不正会計の倍増、憂うべし
2021/03/07日経新聞によると、上場会社の不正会計が10年で倍増し、昨年は1年間だけで60件もあったとのことだ。
東証が2022年に市場再編をするのも、上場企業の質を高めるためであり、不正会計を起こした企業への厳罰姿勢を強めている。
上場会社の不正会計は、それを元に公募増資をすれば、投資家に対する詐欺罪になり、それはまた一瞬にして投資家の財産(株式)の価値をゼロにしてしまう危険があり、到底許されるものではない。ガバナンスの強化は、資本主義を守るため必須のものである。