2021/02/06 クライシス・マネージメント
2021/01/10 2021年を占う 6 政策保有株式が削減される
今年、東京証券取引所に置かれる予定の、プレミアム市場に上場する会社は、政策保有株式の削減が、強く求められるであろうと、マスコミは報じている。
では、政策保有株式とは何か?といえば、「持ち合い株式」のことだ。
では、どのような株式を持ち合い株式というか?といえば、例えば「いなげや・忠実屋事件」に見られるような相互持ち合いの対象になった株式をいう。
すなわち、秀和(不動産業を営む会社)という会社が、中堅スーパーの「いなげや」と「忠実屋」に対して、敵対的企業買収を開始したところ、これを阻止するため、いなげやは忠実屋に対し、また、忠実屋はいなげやに対し、それぞれ新株の第三者割当をした。これにより両社とも、秀和がそのときまでに買い占めていた株式の議決権を希釈化した(薄めた)という事件が起こった。
これにより、秀和は、敵対的買収をするに必要な特別決議を可能にする議決権(発行株式総数の2/3)を握ることができなくなったのだ。
つまり、持合株式とは、このような敵対的買収の際に、それを阻止してくれる白馬に乗って救出に駆けつけてくる騎士(ホワイトナイト)をつくるための株式をいうのだ。
しかし、このような目的で新株を発行することは、不公正な発行方法であるこというまでもない。そこで、東京地裁は、いなげやと忠実屋双方に対し、第三者割当増資を差し止めた。
2015年に金融庁と東証が協同で策定したコーポレートガバナンス・コードは、上場会社に対して、政策保有株式の放出を勧奨しているが、上場会社の中には、それに逆行する会社も出ている。
そのような会社の株式は、機関投資家(物言う株主)には買ってもらえない。ということは、政策保有株式を大量にもつことは、ホワイトナイトどころではない、株価の値上がりが期待できないブラックナイトをつくることになる一面があるのだ。
なお、敵対的買収でも、必要があり、一定の手続をとれば、それを阻止できる方法はある。これは、明日の日記に書くことにする。