2021/02/26 複眼的思考を身に付けるべし
2020/12/21 リーダーシップ⑨2 21世紀の「みんなのため」
四つのテストの第四は、「みんなのためになるかどうか」であるが、21世紀においては、ESG投資が、「みんなのためになる」方法の一つになっている。
すなわち、国連は、2006年に大手機関投資家に対し、投資判断にESGの観点を組み込むことを求める「責任投資原則」Principles for Responsible Investment:PRI)というルールを提唱したのである。この原則は、その2年後にリーマンショックが起こったことで、その反省からも、世界に受け入れられることになった。
2016年のデータだが、全投資額に対するESG投資の割合は、欧州が約53%、豪州・ニュージーランドが約51%、アメリカが約22%、わが国 約3%でしかなかった。しかし・・・世界のESG投資は、2016年比で2018年末時点には34%増え、この間日本は4.6倍に急拡大している。
上場会社が、ESG投資に注力しないとどうなるか?それは、機関投資家がダイベストメント(投資撤退)をしていくことになるのだ。例えば、石炭使用の比率の高い会社、データ改ざんなどのガバナンス上問題のあった会社などは、投資の対象から外される可能性がある。最近商社が温室効果ガス排出量の多い燃料炭の鉱山権益をすべて売却し、米欧の保険会社の間では、石炭火力発電関連の損害保険の引き受けを停止する動きが相次いでいる。
なお、地球温暖化など、気候変動に関するデータの開示をする企業が、急速に増えていることが報じられているが、このデータの開示は、ESG投資を呼び込む目的によるものとされている。そうであるので、現在のESG投資を推奨する思潮は、最近話題になっているSDGsの考えと、軌を一にする。