コラム
2020/09/06 政策論争と多様性
2020年9月7日
2020/09/06 政策論争と多様性
これまで、私は、2度、面白い経験をした。
1度は、岡山市の「放置自転車対策審議会」議長として、放置自転車に対する条例案を審議したとき。
もう1度は、岡山弁護士会の常議員会議長として、執行部が提出する議案につきその可否を決するための審議をしたときだ。
いずれの会議体でも、論客というものはいるものだ。
論客とは、おうおうにして、自説を正義の論、他の委員の意見を謬論(間違った論)だとして、議論を好む委員のことだ。
会議体で、1人の委員Aが甲論を吐き、別の委員Bが乙論で反駁し、口論乙駁が始まったときは、議長は、AB双方に対し,他の委員の意見を求めるという言い方で議論を停止してもらい、会議体に出席した人全員から,意見の表明をしてもらう方法が,案外,全委員が納得できる結論に達することがあるのだ。
これをすると,ABいずれかが,自分の意見が,本人が思う以上の少数意見であることを知ったときなど,自説を撤回し,反対論を述べた人の意見に賛成することもあるのだ。
他の委員も,そういう考えなら,自分もその意見に賛成しようという納得感が生まれるからである。
また,面白いことに,全委員個々に意見を述べてもらうと,各委員は,他の委員の述べる良質の意見の影響を受け,さらに自説に自信を持つ人,逆に他の委員の良質の意見に納得し,自説を変更する人なども出,会議体の結論は,自ずと一つの結論に落ち着くことが多いのである。これがコンセンサスであろうと思われる。
委員も,始めに結論ありきではなく,全員の自由闊達な意見を聴きながら,自分の結論を生み出すという考えでいる方が,多数決では得られない納得感が生まれるように思う。
また,会議に要する時間も,全委員からの意見聴取の方が,AとBの甲論乙駁に手を拱いたときに比べ,はるかに短くてすむように思われる。
これが、多様性を受け入れることではなかろうか。
コンセンスとは、多様性の成果ではないだろうかと思う。
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