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2020/08/30 多様性なくして成長なし

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テーマ:菊池捷男のガバナー日記

2020/08/30 多様性なくして成長なし

今日の休日、「ロータリーの友」の2020年9月号を読んだ。
この中に、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんの「変態が改革する多様性社会」と題する文章が載っているが、これは面白い。

1,総論
出口さんは、人は色眼鏡をかけて物事を見るので、正しい姿が見えない傾きがあるという(趣旨)。私のいう「管見」のことだと思う。
そのうえで、出口さんは、世の中をきちんと見るためには、方法論が必要だと言われ、その代表的な方法論として、「タテヨコ算数(エビデンスペース)」思考を説明される。
すなわち、
①タテ思考とは時間軸の中での変化や違いを見ること、
②ヨコ思考とは他との比較をすること、
③算数とはエビデンス(証拠・資料)に基づく思考をすること、
だといい、物事は、この3視点からアプローチして考える必要があると言われるのだ。
そのうえで、日本の過去30年間の業績が、欧米や中国に比べ、はなはだ悪化してきている事実を指摘される。

2,そのエビデンス(証拠)として、出口さんは、
①日本のGDP(国内総生産)の世界シェアは、1991年時点で約9%もあったものが、直近では4.1%に落ちており(9%→4.1%)、国際競争力も、30年前は世界1位であったものが、2019年では30位に後退していること(1位→30位)。さらに、世界のトップ企業20社の中の日本企業の数は、1989年には14社であったものが、現在ではゼロになっていること(14社→0社)(いずれもタテ思考)。
さらに、
②独仏の労働者は、日本の労働者に比べて7割程度の労働時間で、経済成長率は、日本の2倍もある事実(日本の7割の働きで日本の2倍も成長:ヨコ思考)。
などを挙げられている。

3,原因と対策
その原因として、出口さんは、「女性、ダイバーシティ、高学歴あるいは勉強」の三つのキーワードを挙げられている。
原因の第一の女性というのは、我が国の女性の地位に低さのことである。すなわち、世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数で見る、日本女性の地位は、153か国中121位のという低さにあるといわれるのだ。(ヨコ思考)
(私がインターネットで調べたところ、英国はジェンダー・ギャップ指数が21位、米国は53位、中国は106位、韓国は108位である。)
であるから、対策としては、これからは女性の活用が大切だといわれるのだ。

原因の第二のダイバーシティ(多様性)の希薄さをいうようだ。すなわち、出口さんは、日本の人材育成が製造業の工場モデルに過剰適用しているので、変態的な人間(GAFAの経営者などをいう言葉)が生まれにくいのだといわれるのだ。
だから対策としては、人を鋳型に入れるような教育をしないで、好きなことをさせるのがよい(趣旨)と言われるようだ。
原因の第三である高学歴あるいは勉強とは、今の教育環境では、個性のとがった人(変態)ができそうもない(趣旨)といわれ、対策としては、多様性を積極的に取り入れていくこと、具体的には、多様な能力の開花を妨げない教育が必要だと言われているものと思われる(趣旨)。

この出口さんの論考は、今のロータリーが考えるところと同じであるので、多くのロータリアンには、大いに参考になると思う。ぜにご一読をお薦めしたい。

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