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自社株買い2 コロナウイルス禍と自社株買い

菊池捷男

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テーマ:コロナ禍と企業法務

1,政府がする大企業支援策
2020年4月3日付け日経新聞の見出し「大企業支援へ出資枠」によれば、政府は大企業向けに2000億円規模の出資(優先株での出資)をする予定であることが報じられた。これは、新型コロナウイルスの感染拡大が長引いて大企業の財務が傷む事態に備える措置である。この場合の政府の支援は、すなわち、政府の出資であり、政府を株主にすることである。

2,日本企業は、外国企業に比べ手元資金が少ない
2020年4月12日付け日経新聞の見出し「大企業にも資金難懸念」によれば、日本の大企業でも、日本を除く世界の企業がもつ手元資金に比べ、非常に少ない。現在のコロナウイルスの影響の下では、世界の企業に比べ、1年後の手元資金は3分の1以下になりそうである。

3,自社株買いをしていなかったら
もし、大企業が、一部の株主の要求に応じた自社株買いをしていなければ、政府の支援もその分少なくてすむはずである。また、手元資金も枯渇かを心配する度合いは少なくなっていたのではないか?

4,自社株買いに意味があるのか?
マスコミの臨調によれば、「自社株買いをして消却すれば、1株あたりの利益が上がる」ことを利益になるかのごとき主張があるが、1株あたりの利益を上げることだけを目的にするになら、株式の併合をすればよい。2株を1株に株式併合をすれば、1株あたりの利益は一度に2倍になる。しかも、この方法だと、会社も資産を失うことはないのであるから、自社株買いよりははるかに危険が少ない。上場会社の自社株買いは、考え直すべきではないか?

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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