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遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで⑨

菊池捷男

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テーマ:令和時代の相続法

9 もう一つの法律問題 ー 代理人とは? ー

日弁連懲戒委員会の13年議決は、遺言執行者は相続人の代理人であるから相続人に対して相続財産目録作成交付義務があるといい、18年議決は、遺言執行者は相続人の代理人だから相続人から遺産の調査やその報告を求められた場合はこれに従う義務があるという。

しかし、代理人は、本人に法律効果を帰属させる法律行為を行う者であり、調査等の事実行為をするのが代理人の仕事ではない。ましてや、命令に従う身分が代理人ではない。

親権者が未成年者のために売買契約を結んだ場合、未成年者は売買対象物の所有権を取得するが、一方で売買代金の支払い義務を負う。このように、本人(未成年者や成年被後見人)に権利や義務を帰属させる法律行為をするのが代理人なのである。

この点においても、日弁連の遺言執行者観には、法律論の間違いがある。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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