3 相続分の指定と債権者の権利(改正法による新設規定)
民法第1014条3項は。平成30年の改正法で新設された規定です。
その内容は、「前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。」というものです。
これも、前記判例(最高裁平成3年4月19日判決)では、遺言執行者に預金の払戻請求などができないように読めたことから、改正法で、遺言執行者は遺産分割方法の指定の目的になった預貯金については、その払戻請求ができること、また、預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限って遺言執行者に解約の申入れができることにしたのです。