遺言執行者の権限② 遺贈の履行
第5章 財産分離
相続法は、第5章に、財産分離に関する規定を置いています。
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【条文】
(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
第941条 相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3か月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
(財産分離の効力)
第942条 財産分離の請求をした者及び前条第2項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。
(財産分離の請求後の相続財産の管理)
第943条 財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
以下第950条まで略。
【解説】
財産分離というのは、被相続人に債務があって、相続人がその債務を承継したが、相続人にも債務があるという場合、相続人が相続した相続財産が、相続人固有の債務の弁済に使われると、相続債権者を害する結果になることが予想されます。
例えば、被相続人には1億円の相続財産があり、かつ、5000万円の債務があるという場合、相続債権者は、相続財産から債権は全額を回収できますが、相続人が固有の債務として2億円を負っているときは、相続財産1億円は、相続債権者に対する5000万円の債務と相続人の債権者に対する2億円の債務の引き当てとされる結果。相続債権者が自己の債権の回収をすることは極めて難しくなります。
そのような場合があることから、法は、相続債権者や受遺者の権利として、相続債権者が相続財産から優先的に弁済してもらえる(942)制度を設けたのです。
しかしながら、この制度は、実務で利用されることはほとんどありません。
そのため、その余の条文の引用は割愛いたします。