被後見人の遺言の制限
3 単純承認・限定承認・相続放棄の意味
【条文】
(単純承認の効力)
第920条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
(限定承認)
第9222条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
ⅰ 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
ⅱ 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
ⅲ 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
【解説】
相続の単純承認とは、無限に被相続人の権利義務を承継することです(920)。これは、何もしなければ、その効果が生ずるようになっています(921ⅱ)。
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すればよく、余った財産は、相続人の物になるという相続です(922)。この手続は、共同相続人の全員が共同ですることになります(923)。この場合、相続放棄をした相続人がいるときは、相続放棄をした相続人以外の相続人全員で限定承認ができます。
相続放棄とは、初めから相続人にはならなかったものとすることです。相続放棄の手続は、その旨を家庭裁判所に申述することです(938)。
実務での利用頻度
単純承認は、そのために必要な手続はないので、実務では最も多い相続形態になっています。
限定承認は、実務で利用されることは、あまりありません。
手続が煩瑣で難解なこと、不動産の譲渡所得が発生したとみなされる税制になっていることなどが原因と思われます。
放棄は、実務では非常に多く利用されております。これについては、次回のコラムで解説します。