遺産分割④ 前提問題と中間決定制度
1 遺産の30% → 農地のみの30%に変更した例
和歌山家庭裁判所平成27年 6月30日審判は、申立人に対し、被相続人の家業である農業に従事することにより、被相続人の重要な財産である農地が荒廃することなく、収穫を産出しうる土地としての状態の維持が図られたものであることから、被相続人の財産の維持に寄与したと認められるとして、遺産の30%を寄与分と判示しましたが、その抗告審である大阪高等裁判所平成27年10月6日決定は、農業に従事したこと以外の寄与を認めることができないことも考慮して、農地のみの評価額の30パーセントと定めるものに変更しました。
2 全遺産の50%と定めた例
横浜家庭裁判所平成 6年 7月27日審判は、 被相続人の家業である農業を維持することによって農地などの遺産の維持に寄与したものと認められ,遺産の評価額の50パーセント(1億4139万円)の寄与分を認めました。
3 遺産の32%強を認めた例
福岡家庭裁判所久留米支部平成4年9月28日審判は、被相続人の家業である薬局経営に無報酬又はこれに近い状態で従事したとはいえないが、薬局を会社組織にし、店舗を新築するなどして経営規模を拡大したことが特別の寄与に当たるとして、3000万円(遺産の約32%強)の寄与分を認めました。