金融機関に対する取引履歴の開示請求を認めた判例の全文
Q 私は金融機関に窓口にいる者です。
今般、
ア 父が死亡して相続が開始した。
イ 相続人は母親と長男だけである。
ウ 母親は認知症になっているので長男が後見人になっているものの、長男は母親とは利害相反関係に立つので、母親の特別代理人として甲弁護士が選任された。
エ そこで、長男と母親の特別代理人甲弁護士との間で、遺産分割を成立させ、当銀行に対する被相続人の預金は全部長男が取得した。
オ であるから、預金の払戻の請求をしたい。
カ それに必要な書類を教えてほしい。
と、長男から相談がありました。
どのような書類を持ってくるよう言えばよいのでしょうか?
また、参考までにお聴きしますが、銀行の方でも取得できる必要書類がありますか?
A
① 成年後見人の確認方法
成年後見人であるかどうかは,登記事項証明書により確認することができます。
この登記事項証明書の交付を請求できる者は,本人,配偶者,四親等内の親族及び成年後見人等に限定されており,取引の相手方は,請求することはできません(後見登記等に関する法律10条)。
ですから、銀行が、直接,法務局に対して登記事項証明書の交付を請求することはできませんので,本件では、長男から、登記事項証明書の提示を求めるとよいでしょう。
なお、インターネットを覗けば、「成年後見登記に関する証明書の請求方法について」などの説明資料が得られます。
② 特別代理人の確認方法
甲弁護士が、特別代理人であるかどうかは,特別代理人選任の家庭裁判所の審判書により確認することができます。
この審判書は,特別代理人が保管していると思われますので,長男を通じて、甲弁護士から審判所及び審判の確定証明書それぞれの写しを交付してもらうとよいでしょう。
銀行は、直接、裁判所に請求できません。