不動産 公図の歴史
宅地の売買などをしますと,不動産譲渡所得課税問題が生じますが,その売買契約を仲介した宅地建物取引業者に,税金についての説明義務があるか?について,古い裁判例がありますので,紹介いたします。
大阪高裁昭和49年11月6日判決がそれですが,裁判所は,「法律上は,宅地建物取引業者は原則として取引関係者に対し,税について説明したり,あるいはこれについて調査したり,または調査の求めに応じる等の義務はないものというべきである。しかしながら,業者が顧客に対し,税が賦課されないことを確約保証して取引を勧誘し,顧客がこれを信じてその勧誘に応じたような場合は,信義則上,税についての法令等を十分に調査研究し,その結果課税を免れないことが判明すれば,これを直ちに顧客に説明する等の措置をとって,取引の結果顧客に不測の負担(損害)を負わせることのないようにするべき義務がある。」と判示しています。
したがって,同裁判例によれば,宅地建物取引業者には,原則として,税金についての説明義務はありませんが,取引の際に税金について言及した場合等には,その言葉に責任を持たせ,説明と違って顧客に思わぬ損害を与えた場合は,損害賠償義務が発生することとなります。
他にも,同趣旨の東京地裁昭和49年12月6日判決がありますが,この判決は,説明を怠った担当者は不法行為責任(民法709条)を負い,業者は使用者責任(民法715条)を負うと判断しています。