行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
Q 公有地を売却する場合で,買いたいという希望者が複数いるときは,必ず,競争入札を実施しなければならないのですか?随意契約で売却することもできますか?
A 随意契約でできる場合も,無論,あります。
1 随意契約に関する一般論
地方自治法施行令第167条の2では,地方自治法第234条第2項の規定により随意契約によることができる場合として,不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき(地方自治法施行令第167条の2条1項2号)とされています。
この場合,「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」にあたるかは,地方公共団体の契約担当者の合理的裁量により決定されるべきものと解されています(最高裁判所判決昭和62年3月20日)。
この判例によれば,随意契約の方法をとることが,当該契約の目的達成のためにより妥当であり,自治体の利益の増進に繋がると合理的に判断されるような場合には,随意契約に合理的理由があると判断されていますので,公共性の高い事業のために随意契約が必要といえる場合には随意契約も可能と考えられます。
2 自治体によっては,随意契約締結の基準あり
大阪市の売払いに係る随意契約の取扱い基準通達の例ですが,地方自治法施行令第167条の2第1項第2号の規定により、不動産を随意契約により売り払うことができる場合として,「公用・公共用又は公益事業の用に供するため必要な物件を国・公共団体若しくは公共的団体又は事業者に売り払うとき」と定めていますが,このような規定を置いていない自治体でも,このような目的で公用地を随意契約で売却することは可能です。
3 例示
例えば,電力会社が,送電線を架設するための鉄塔を建築する目的で,公有地を買い取りたいというような場合は,電気事業法による一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業又は発電事業の用に供する電気工作物設置のための買取になり,土地収用法3条によって,土地を収用し、又は使用することができる公共の利益として認められているほどですので,売却額が時価相当額であるかぎりは,随意契約は可能です。