マイベストプロ岡山

コラム

もっと分かりやすい解説を! 第7 会社名義の財産も遺産分割の対象外

2016年5月20日 公開 / 2018年8月9日更新

テーマ:相続(遺産分割篇)

コラムカテゴリ:法律関連

家事審判官
「被相続人が経営していた会社名義の財産を,遺産分割の対象財産にしてほしいという要求もあるようですね。

相続人乙
「そうです。被相続人が経営している会社の株式は,全部被相続人のものですので,会社名義の財産といっても,個人の遺産と変わりません。その会社名義の財産は,結構ありますので,それを相続人間で分割していただきたいのです。

家事審判官
「それはできません。早い話,会社名義の不動産や預金を,特定の相続人が取得するという遺産分割協議書を書いても,法務局,銀行ともに,名義書換に応じないと思いますよ。会社名義の財産そのものは遺産ではないからです。遺産は,被相続人が有していた自社株でしかありません。あなたがた全相続人が,遺産分割により,それぞれ自社株を取得して株主となり,株主総会を開いて会社の解散決議をし,残余財産の分配として,会社の財産を分割することはできますが,被相続人の遺産分割としてはできませんねえ。

相続人乙
「では,被相続人の残した自社株式の遺産分割をした上で,その後の会社財産の分割方法についての約束事を,遺産分割の調停の席で,定めていただけませんか?」

家事審判官
「前段はできますが,後段はできません。すなわち,裁判所の調停委員会や家事審判官でできることは,遺産である株式の取得者を決めるところまでです。そこから先の話合いは,遺産分割の調停の場ではできません。なお,自社株の相続人間で,会社を解散する約束をしても,株主総会で解散決議をしないと,法的には無効ですから,こ念のため,お伝えしておきますよ。」

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

Share

関連するコラム

菊池捷男プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ岡山
  3. 岡山の法律関連
  4. 岡山の遺産相続
  5. 菊池捷男
  6. コラム一覧
  7. もっと分かりやすい解説を! 第7 会社名義の財産も遺産分割の対象外

© My Best Pro